「ウォータージェット工事の費用は、面積に単価をかければだいたい出るのだろう」。そう思って、最初に「㎡あたりいくらですか」とお尋ねいただくことは少なくありません。
ところが実際には、同じ面積・同じ対象物でも、現場が違えば金額は変わります。水を当てている時間そのものより、水を当てられる状態をつくる段取りのほうが、金額を大きく動かすことがあるためです。この記事では、何が費用を動かすのか、見積書のどこを見れば各社を同じ土俵で比べられるのかを、施工する側の立場から正直にお伝えします。
「面積×単価」が成り立ちにくい理由
ウォータージェット工事の費用は、大きく2つに分かれます。
- 削る作業そのものの費用(人と機械が動いている時間)
- 削れる状態をつくる費用(足場、給水、排水処理、養生、搬入、処分)
後者は対象物ではなく現場の条件で決まります。同じ面積でも、地上の広い壁面と、川の上にある橋桁の裏側とでは段取りがまったく違います。単価表を1枚お出しできない理由はここにあります。
もうひとつ、ウォータージェットは圧力・水量・ノズル・動かす速さを現場で決めていく工法です。条件の決め方で施工速度が変わり、速度が変われば日数が変わり、日数が変われば足場や交通規制の費用まで動きます。金額は日数と連動しているとお考えください。
対象物によって変わること
材質と劣化の状態
コンクリートなのか鋼材なのか。コンクリートなら硬さや中性化の進み具合はどうか。劣化した部分はやわらかく落ちやすい一方、健全な部分は硬く、同じ設定で同じようには進みません。同じ構造物でも、面ごとに状態が違うことがあります。
除去する深さ
表面の塗膜だけをはがすのか、コンクリートを一定の深さまで取るのか、鉄筋の裏側まで回り込ませるのか。深さが増えるほど、時間も水量も、出てくる廃棄物の量も増えます。
やっかいなのは、仕様書に「劣化部のみ除去」と書かれていても、どこまでを劣化部と見るかは現場での判断になる点です。ここの想定がそろっていないと、金額の差が技術の差なのか前提の差なのか分からなくなります。(関連:除去する深さはどう決まるか)
面積と形状
広く平らな面を流していくのと、狭い場所や入り組んだ形状を一か所ずつ処理していくのとでは、進み方が変わります。サンテックはハンドガンを人の手で扱う施工を得意とし、約60cm角・高さ約2mの塔の内部という現場も手がけましたが、そうした場所は平らな壁面と同じ速度では進みません。(関連:ハンドガン施工)
また、面積が小さい工事ほど、運搬や据付といった面積に比例しない費用の割合が大きくなります。「小さい工事なのに高い」と感じられる場合、多くはこれが理由です。
現場の段取りによって変わること

足場・仮設・交通規制 高所や桁下では足場が要り、道路や鉄道が使われたままなら規制も必要です。これが工事費に含まれるのか元請け側の負担なのかで、総額は大きく変わります。
給水と排水処理 水をどこから引くか、使った水(濁水)をどう処理するかが、そのまま費用になります。削る作業より水の処理のほうが手間の大きい現場もあります。(関連:排水・濁水の処理)
養生と近隣対策 飛散も騒音も、ゼロにはなりません。防音シートや養生、作業時間帯の制限が加わると、その分の費用と日数が乗ります。(関連:騒音・振動・粉じん)
夜間・休日施工 稼働中の工場や、使われたままの道路・鉄道では作業時間が限られます。1日に進む量が減れば日数が伸び、割増も加わります。
搬入路と機材の規模 超高圧水発生装置はトラックに積んで運びます。車をどこまで寄せられるか、ホースをどこまで延ばすかで段取りと人数が変わります。(関連:ウォータージェットの装置)
産業廃棄物の処分 削りカスと濁水は処分が必要です。塗膜に石綿(アスベスト)や鉛が含まれる場合は、取り扱いも処分方法も変わります。(関連:アスベスト除去)
見積書は、ここをそろえると比べられます
正直に申し上げます。複数社の見積書を並べて総額だけを見比べても、意味のある比較にはなりにくいのが実情です。前提条件が違ったまま並んでいることが多いためです。そろえておくと比べやすくなる項目を挙げます。
1. 除去する深さと範囲が読み取れるか 「一式」ではなく、どこを、どの深さまで処理する前提かが分かるか。ここがそろっていないと、他のすべての比較が崩れます。 > サンテックの場合:現場の状態を見たうえで想定する深さをお伝えし、判断が難しい現場では試し削りをご提案します。
2. 仮設・足場・交通規制が誰の費用か 含む・別途・元請け支給のどれなのかで総額は変わります。「別途」が多い見積書のほうが安いとは限りません。
3. 水と排水の扱いが誰の費用か 給水の確保から濁水の処理・処分まで、どこまでを見ているか。
4. 想定している施工日数と作業時間帯 日数は金額そのものです。夜間や休日が前提に入っているかも見ます。
5. 産業廃棄物の処分費が含まれているか 含まれていなければ、後から加わります。
6. 条件が変わったときにどうなるか 削ってみたら想定と違った、ということはあり得ます。数量精算か一式か、変更をどう扱うかを先に決めておくと、後のやりとりが楽になります。
費用を抑えたいときに、聞いてみる価値があること
- 深さや範囲を見直せないか(全面一律ではなく、必要な範囲に絞れることがあります)
- 他の工種とまとめて足場を使えないか
- 作業時間帯の制約をゆるめられないか
- そもそもこの現場にこの工法が合っているか
最後の点は施工会社として言いにくいことですが、大事です。条件をうかがったうえで、別の工法をお勧めすることもあります。(関連:ウォータージェットとピックはつりの違い)
まとめ
ウォータージェット工事の費用は、面積だけでは決まりません。対象物の材質と劣化の状態、除去する深さ、形状、そして足場・水・養生・作業時間帯・搬入路・処分といった現場の段取りが、日数を通して金額を動かします。
各社を比べるときは、総額よりも先に前提条件がそろっているかをご覧ください。上に挙げた6点をそろえるだけで、比較の精度は上がります。(関連:見積書の読み方/業者の選び方)
サンテックは1993年(平成5年)から超高圧ウォータージェット工法だけを手がけ、年平均92物件、累計1,500件以上の施工に携わってきました。お見積もりの前提をどう置いたかも、ご説明できるようにしています。(関連:施工事例一覧)
ご相談ください 「この現場だと、どれくらいかかりそうか」という段階からで構いません。すでに他社でお見積もりをお持ちでしたら、比較の1社としてお声がけいただくだけでも結構です。金額が何で動くのかも含めて、率直にご説明します。