薬品も火気も使わず、水の力だけでコンクリートを砕き、鉄の汚れを落とす。
「なぜ水で物が削れるのか」を、図解でやさしくご説明します。
超高圧水発生装置で 200MPa以上(大気圧の約2,000倍以上)まで加圧した水を、直径0.1〜3mmの小口径ノズルから マッハ1〜3 の高速の水噴流(ウォータージェット=WJ)として噴き出します。この「水の刃」が、コンクリートを砕いたり、鉄の表面の塗膜やサビを削り落としたりします。
むずかしく聞こえますが、身近なところにもヒントがあります。神社の手水鉢(ちょうずばち)の石が、長い年月のあいだに落ちる水滴で少しずつ窪んでいったり、シャワーの水圧でこびりついた汚れが落ちたり――これらはすべて「水の力」です。その水の速さと圧力を、極端に高めたものがウォータージェット。だから硬いコンクリートでも削ることができます。仕組みは、大きく3つのステップで説明できます。




同じ水の刃でも、相手が「水の入る余地(微細な空隙)」を持つかどうかで働き方が変わります。これが、コンクリートは削れて、鉄(母材)は傷つかない理由です。
空隙に水が入り込み、くさび効果で砕ける
表面の塗膜・サビだけを除去し、母材(鉄)は傷つけない
ポイント:ウォータージェットが物を壊す力は、「衝突力」と「水くさび作用」の2つ。コンクリートのように空隙がある相手には水が入り込む「水くさび作用」が加わって削れます。一方、鉄のように空隙のない相手には水くさび作用が働かないため、表面の不要なものだけを落とし、母材は傷つけません。この使い分けが、ウォータージェット工法の最大の特長です。
「削る」と「切る」は別物です:ここまでは水だけで表面を削る話でしたが、水に研磨材(アブレーシブ)を混ぜると、鉄やステンレスを切断することもできます。ノズルの手前で負圧を使って研磨材を吸い込み、水と一緒に噴き出す仕組みです。火花が出ないため、火気厳禁の化学プラントなどの解体にも向いた工法です。
水の力で削るからこそ得られる、他工法にはないメリットがあります。