この記事の要点
- ハンドガンは、人が手で持つ道具です。噴射している間、反力を受け続けます。
- 装置が自動で狙った深さに止めてくれる工法ではありません。もろい部分と健全な部分を、手ごたえと目で見分けながら加減します。
- きれいな仕事ではありません。水を浴び、狭い場所に入り、音も大きい。その代わり、機械が入れない場所に入れるのは人だけです。
「ウォータージェット はつり 求人」で検索してたどり着いた方、あるいはこの仕事がどういうものか調べている方に向けて書いています。
この記事で書くのは、募集条件ではなく仕事の中身です。ハンドガンを人の手で扱うとはどういうことか、何を見ながら削っているのか、どんな環境に身を置くことになるのか。読んだうえで「やってみたい」と思う方もいれば、「自分には向かない」と判断する方もいるはずです。どちらも正しい読み方だと考えています。
そもそも何を削っているのか
ウォータージェットはつりは、水を 200MPa以上(大気圧の約2,000倍以上)まで昇圧し、直径0.1〜3mm の細いノズルから マッハ1〜3 の速さで噴射して、対象を削る工法です。
削る相手は、橋やトンネルの劣化したコンクリート、プラント設備に固着したスケール、鉄橋や船体の古い塗膜。壊すためではなく、残すべきものを残しながら要らない部分だけを取るために使われます。(関連:ウォータージェットはつりとは)
装置は、超高圧の水をつくる発生装置を4t車に積んで現場へ持ち込み、そこからホースを延ばして先端の道具へ水を送ります。この先端を人が手で持つ道具が「ハンドガン」です。
ハンドガンを持つとは、反力を受け続けること

ハンドガン施工でまず体が覚えるのは、反力です。
水を高速で前へ飛ばせば、その分だけ後ろに押し返されます。この力は噴射している間ずっとかかり続けます。一瞬だけ踏ん張ればよいのではなく、削り終わるまで姿勢を保ち続けることになります。
反力には限界があります。 人が受け止められるのは15キロほどで、そこが限界値とされてきました。そのため水量はノズルの番手で調整する。細かい作業では番手を落として水量を減らします。当社が番手を落として施工することが多いのは、打ち続けられる時間を延ばすためであり、体への負担を軽くするためでもあります。
直射ガンのトリガーは、握っただけでは水が出ません。トリガーを上げてから握って初めて出るダブルトリガーです。構えるときは肩に当て、体で反力を受ける。濁水が跳ね返ってくるので、エアーの装置にはカバーを付けています。
さらに、ただ耐えるだけでは仕事になりません。反力を受けながら、狙った位置に、狙った角度で、狙った時間だけ当て続ける。押しつければ深く削れるという単純な話でもなく、当てる距離と動かす速さで削れ方が変わります。ここが体で覚える部分です。
装置は、狙った深さで止まってくれない
もうひとつ、この仕事の中心にあるのが見極める目です。
補修の現場で求められるのは「劣化した部分は取り、健全な部分は残す」こと。ところが、どこまで削れば健全な層に届くかは、現場ごと・面ごとに違います。雨がかりの有無、日照、風の当たり方で劣化の進み方が変わるためです。(関連:除去深さと中性化層の考え方)
「深さ○mmに設定すればそこで止まる」という装置ではありません。 もろくなった部分は水が入り込む隙間があるため先に取れ、健全なコンクリートは削れにくい——この性質は利用していますが、加減するのは持っている人間です。
手ごたえが変わる。音が変わる。取れ方が変わる。その変化を拾いながら、当てる時間を短くしたり、離れたり、角度を変えたりして加減する。神業ではなく、判断の積み重ねです。削り終えた面は打音とテストハンマーで確認し、脆弱な部分が残っていないかを見ます。
人が持つ方式と、機械に持たせる方式
装置を機械に持たせる方式もあります。数字で並べると、得手不得手が見えます。
| ハンドガン(人が持つ) | 吸引型アクアブラスト | マグネットクローラー(自走) | |
|---|---|---|---|
| 誰が支えるか | 人 | 人(吸引フード付き) | 磁力で壁面に張り付く |
| 削る深さの目安 | 直射ガンで300mmまで | 3mm(表面処理まで) | 7mm(塗膜除去) |
| 1日に進む量 | 現場条件による | 約80㎡/日(2ガン) | 150㎡/日(1台) |
| 音の目安 | 約120dB | 約80dB | ― |
| 飛散 | あり | なし | ― |
| 向く場所 | 狭所・曲面・入隅 | 平坦で広い面 | 鋼構造物の壁面 |
※現場条件により結果は異なります。
広い面を効率よく進むなら、人が持たない方式のほうが速い。 それでもハンドガンが要るのは、広くも平らでもない場所が現場に出てくるからです。(関連:装置構成とガンの使い分け)
当社が手がけた現場に、約60cm角・高さ約2mの塔の内部を施工したものがあります。自走式の装置は入りません。人が入り、体を折り、その姿勢のまま反力を受けて削ります。楽ではありませんが、こういう場所が回ってくるのはほかに手がないからです。
きれいな仕事ではありません
正直に書きます。
水を浴びます。 削っているのは水ですから、跳ね返りも飛散もあります。ハンドガン施工は飛散ありの方式です。
音が大きい。 目安として、ハンドガン施工で約120dB。保護具は要りますし、会話も簡単ではありません。(関連:騒音・振動・粉じんの実際)
狭い場所、高い場所に入ります。 現場は一つずつ形が違い、都合よく立って作業できるとは限りません。
そして、危険が伴います。 200MPa以上の水は、コンクリートを削り鉄の塗膜をはがす力を持っています。その力が人に向けば重大な事故になります。しかも水は透明で、噴流の最も危険な区間が目で見えにくい。だから立入制限、手順の確認、ホースと接続部の点検が、削る作業と同じ重さで扱われます。回転ガンは、移動するときにコックを閉じ、戻りのホースを抜くのが当社の決まりです。 トリガーを固定したまま使う業者もありますが、そこから重大な事故につながるおそれがあります。(関連:事故はなぜ起きるのか)
ここを軽く扱う人には向かない仕事です。逆に言えば、手順を守ることに意味を感じられる人には、意味が分かりやすい仕事でもあります。
どうやって覚えていくのか
いきなりハンドガンを持たされるわけではありません。現場では、おおむね次の順序で進みます。
まず安全教育。 何がどう危険なのか、どこに立ってはいけないのか、止めるときに何をするのか。ここが最初です。
次に補助。 ホースの取り回し、養生、給水と排水の段取り、機材の設置と撤収。地味に見えますが、施工の段取りはほぼここで決まります。先輩がどう削っているかを近くで見る時間でもあります。
そして施工。 扱える現場を少しずつ広げていきます。
初めてガンを握る人には、先輩が横について背中を押さえながら慣らしていきます。腕だけでなく体幹も鍛えられる仕事です。
サンテックは従業員14名を5つのグループに編成して現場に入ります。一人で現場に放り出される仕事ではなく、常に誰かと組んで動く形です。資格については、業界団体である日本ウォータージェット施工協会が「ウォータージェット施工管理技士」の資格認定試験を実施しています。このほか、狭所や閉所など現場の性質に応じて必要になる資格もあります。(関連:必要な資格と施工体制)
まとめ
ウォータージェットはつりは、反力を受け続けながら、削りすぎず削り残さず加減する仕事です。装置が自動で判断してくれる部分は多くありません。その積み重ねが技術になります。
水を浴び、狭い場所に入り、大きな音の中で働きます。危険もあります。楽な仕事だと言うつもりはありません。
面白さがあるとすれば、「機械が入れないから人が行く」場面がこの仕事にはまだ残っているところだと思います。橋もトンネルもプラントも、直しながら使い続けるものです。その最前線に、水を持って入る。それがこの仕事です。
話を聞いてみたい方へ 「実際の現場はどんな雰囲気なのか」「自分にできそうか」という段階のご相談でも構いません。株式会社サンテックは1993年の設立以来、超高圧ウォータージェット工法だけを手がけてきた専業の施工会社です。北九州市を拠点に、福岡・沖縄の事業所とあわせて全国の現場へ入っています。仕事の中身をもっと知りたい方は、採用に関するご案内もあわせてご覧ください。