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工法解説

ウォータージェットの装置構成 ― どの道具を選ぶと、現場がどう変わるか

2026-08-04 / SANTEC COLUMN

この記事の要点

  1. スペックより先に決まるのは「入るかどうか」。超高圧水発生装置は4t車に搭載するため、車両を寄せられるかが施工の前提になる。
  2. ガンの選択が、1日に進む面積と現場に出る音を決める。吸引型アクアブラスト約80㎡/日・約80dB、マグネットクローラー150㎡/日、ハンドガン約120dB。
  3. 速いガンほど、使える現場が限られる。マグネットクローラーは鋼の平滑な面が要り、狭所に入れるのは人が持つハンドガンだけ。

ウォータージェットの装置を調べると、圧力や吐出量の数字が並びます。ただ、発注する側が知りたいのは、おそらくそこではないはずです。その装置を持ち込むと、自分の現場は何日かかり、近隣にどれくらいの音が出るのか。 決まるのはそこです。

この記事では、装置の構成をひととおり押さえたうえで、どの道具を選ぶと現場がどう変わるかを、施工する側の視点で整理します。数値はいずれも目安で、能力はメーカーにより異なります。

装置の構成 ― 5つで1セット

装置 はたらき 主な仕様
超高圧水発生装置 水を昇圧する心臓部 0〜240MPa/最大30L/min/140kW/4t車に搭載
ハンドガン 超高圧水を対象へ吐出する先端の道具 穴数・穴径を対象と用途で選ぶ
エアーコンプレッサー 高圧エアーを供給する 2tダブルキャブに搭載
超高圧水ホース 発生装置から先端へ水を送る 内径Φ5・Φ8/スパイラルスチールワイヤ6層
超高圧水切替バルブ 手元で噴射を切り替える 施工中の入切に使う

ホースについてだけ補足します。内径Φ5やΦ8という細さの中を、200MPaを超える水が通ります。これに耐えるため、補強のスパイラルスチールワイヤを6層巻いた特殊な構造になっています。ホースそのものが消耗品であり、管理の対象です。

マグネットクローラーの外観。左右に大きなタイヤ状の車輪、中央に回転ノズルと吸引ホースが組まれている

トラックに積んだ超高圧水発生装置から、超高圧水切替装置を経てホースが延び、作業者がハンドガンを構えている構成図。別にエアーコンプレッサーが接続されている

現場の成否を決めるのは、車両を寄せられるかどうか

この表でいちばん実務に効くのは、性能ではなく4t車に搭載という一行です。

超高圧水発生装置は4t車で、エアーコンプレッサーは2tダブルキャブで持ち込みます。この2台を現場のどこに据えるかが決まらなければ、着工できません。進入路の幅、据付スペース、そして装置から施工箇所までホースを延ばせる距離。ここで段取りと人数が変わります。

据える場所は、近隣への影響にも直結します。超高圧水発生装置とエアーコンプレッサーは、削っていない間も回り続けます。噴射音だけを気にしても、運転音は現場に残ります。(関連:相談前に確認しておきたい現場条件)

ガン6種 ― 先端を替えて、削る・洗う・切るをこなす

発生装置は共通で、先端のガンを替えることで用途が変わります。

どれだけの厚みを削れるか

同じウォータージェットでも、ガンによって削れる厚みがまったく違います。ここが工法選定でいちばん誤解されやすいところです。

ガン 削れる厚みの目安 主な用途
ハンド回転 10mm 面を広く均す。劣化部の除去
ハンド直射 300mm 深く掘る。断面修復の前工程、部分的な撤去
吸引型アクアブラスト 3mm ごく薄く。塗膜・付着物の除去、目荒らし
マグネットクローラー 7mm 鋼構造物の塗膜除去

数字を並べると、直射ガンとアクアブラストでは100倍の開きがあります。「ウォータージェットで削れますか」という問いに一律の答えがないのは、このためです。どこまで削りたいのかが決まらないと、どのガンを使うかも決まりません。

逆にいえば、必要な厚みを伝えていただければ、こちらでガンを選べます。「3mmだけ落としたい」のか「300mm掘りたい」のかで、持ち込む道具も日数も変わります。(関連:除去深さと中性化層の考え方)

ここまでは道具の一覧です。発注する側にとって意味があるのは、この選択が工期と近隣対応をどう変えるかのほうだと思います。

施工能力と騒音 ― ここで日数と音が決まります

ガン 1日に進む量の目安 騒音の目安 飛散 使える対象
ハンドガン 形状次第(機械より遅い) 約120dB あり 形状を選ばない
吸引型アクアブラスト 約80㎡/日(2ガン) 約80dB なし ヘッドを沿わせられる面
マグネットクローラー 150㎡/日(1台) ― ― 鋼構造物専用

※現場条件により結果は異なります。

同じ工法の中の選択肢なのに、1日に進む量と現場に出る音がこれだけ違います。

ハンドガンは形状を選びません。曲面でも入隅でも狭所でも当てられます。代わりに人が持って動かすため速くはならず、音は約120dB、水と削りカスは飛散します。

吸引型アクアブラストは、削りカスと洗浄水をその場で吸い込みます。約80dBまで下がり、飛散もありません。近隣が近い現場や、周囲の設備を汚せない現場では、この差がそのまま工程の組み方を変えます。 養生の手間も減ります。(関連:騒音・振動・粉じんの実際)

マグネットクローラーは、磁力で鋼面に吸着して自走します。1台で150㎡/日。仕様は圧力〜245MPa、水量30〜40L/min、洗浄幅380〜400mm、重量約104kg。鋼構造物専用の装置です。

速いガンほど、使える現場が限られます

ここが装置選びの本質だと思います。速い順に選べるわけではありません。

つまり、同じ面積でも「どのガンが使える現場か」で日数が変わります。面積だけで工期を見積もれないのは、このためです。(関連:工期はどう決まるか)

そして、機械が入れない場所に入れるのは、人が持って施工できるからです。当社では、約60cm角・高さ約2mの塔の内部という現場も手がけました。自走式の装置も遠隔操作の装置も入りません。速さは出ず、音も大きい。それでも、そこを処理できるのはハンドガンだけでした。(関連:ハンドガン職人の世界)

まとめ

装置の話は、スペックの比較に見えて、実際には現場条件の話です。

4t車と2t車を据えられるか。対象が鋼か、コンクリートか。磁石が吸着する平滑な面か、入り組んだ形状か。近隣までどれくらい離れているか。この4つが決まれば、使えるガンはほぼ決まり、日数と音も見当がつきます。

逆に言えば、面積だけをうかがっても工期はお答えできません。現場の写真が1枚あると、話がずいぶん早くなります。(関連:ウォータージェットのメリット6つ)

ご相談ください 図面や現場写真をもとに、どの装置が使える現場かをお調べします。当社で対応が難しい場合や、別の工法のほうが良い場合はそのようにお伝えします。株式会社サンテックは1993年の設立以来この工法だけを手がけ、年平均92物件・累計1,500件以上の現場を重ねてきました。狭所の施工や、他社で断られた案件のご相談も日常的にお受けしています。

よくある質問

装置は現場に持ち込むのですか?
はい。超高圧水発生装置は4t車に搭載し、エアーコンプレッサーは2tダブルキャブに積んで現場へ持ち込みます。この2台をどこに据えられるかが、施工できるかどうかの前提になります。
ガンの種類によって工期は変わりますか?
変わります。目安として、吸引型アクアブラストは2ガンで約80㎡/日、鋼面を自走するマグネットクローラーは1台で150㎡/日です。人が持って動かすハンドガン施工は、これらと同じようには進みません。
静かなガンを選べば、騒音は抑えられますか?
小さくすることは可能です。目安はハンドガンが約120dB、吸引型アクアブラストが約80dBです。ただし超高圧水発生装置とエアーコンプレッサーの運転音は、削っていない間も出ています。据付場所の検討とセットで考える話になります。
狭い場所でも施工できますか?
できる場合があります。人が手に持って施工できるため、自走式の装置が入れない場所にも入れます。約60cm角・高さ約2mの塔の内部を手がけた実績があります。ただし進む速さは落ち、音も大きくなります。

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