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発注ガイド

ウォータージェットの排水処理 ― 使った水はどこへ行くのか

2026-08-12 / SANTEC COLUMN

ウォータージェット工事の打ち合わせでは、金額と工期の話が先に出ます。一方で「使い終わった水をどうするか」は、話が固まってきた後半になって初めて話題に上がることがあります。

しかし、水を使う工法である以上、使った後の水をどう扱うかは工事の段取りそのものです。どこから水を取り、どこへ流すかが決まらないと、着工日も金額も固まりません。この記事では、発注者の方に事前に知っておいていただきたい濁水・排水の考え方を、施工する側の立場から正直にお伝えします。

出てくるのは「水」ではなく「削りカスの混ざった水」です

施工中に足元に出てくるのは、透明な水ではありません。削り取ったものが混ざった濁水です。

ウォータージェットは、水を200MPa以上に昇圧してノズルから噴射する工法です。火も薬品も使いませんので、薬剤の残りや燃焼にともなう廃棄物は出にくく、廃棄物を少なく抑えられる工法ではあります。

ただし、ここは正直に申し上げます。「廃棄物が少ない」は「処理が要らない」という意味ではありません。 削り取ったものは消えたわけではなく、水と一緒にその場に残っています。

対象物によって、水の扱いが変わります

同じ濁水でも、中身によって扱いが変わります。だからこそ、着工前に「何を削るのか」をはっきりさせておく必要があります。

コンクリート系 削り取られるのは主にコンクリートの粒です。回収して沈殿させ、固形分と水に分けてから、それぞれを処理する形が基本になります。

塗膜 注意が要るのはこちらです。古い塗膜には有害物質が含まれている場合があります。 その場合、塗膜片は水と分けて回収し、産業廃棄物として処分する段取りになります。塗装の種類・施工年・過去の改修履歴が分かる資料が残っていれば、見積もりの段階でお見せいただけると助かります。(関連:鋼構造物の塗膜除去)

プラント・配管まわり スケールや固着物のほか、油分が混ざることもあります。何が付着しているかで扱いが変わります。(関連:プラントのスケール・固着物除去)

アスベストが関わる場合 これは別枠です。別途の法規制があり、専門の手続きが求められます。 可能性がある場合は、早い段階でお知らせください。(関連:アスベスト除去)

なお、排水の扱いには、水質汚濁防止法・下水道法・廃棄物処理法といった法令のほか、自治体の条例や下水道管理者の判断が関わります。どの手続きが要るのか、どこまでの処理が求められるのかは、現場の条件や自治体によって異なります。 一律に「こうすれば通ります」と申し上げられる性質のものではありませんので、事前の確認が欠かせません。

水は「どこから」と「どこへ」の両方が段取りです

4t車に積んだ超高圧水発生装置。荷台の側面に高圧ホースが束ねてある

排水ばかりが話題になりますが、給水も同じくらい段取りに効きます。

入口(給水) 現場に使える水道があるか、誰の水を使うのか、使用の許可が取れているか。使えない場合は給水車や仮設タンクを手配します。山間部や洋上、稼働中のプラントなど、水の確保そのものに手間がかかる現場もあります。

出口(排水) 既設の排水設備が使えるかどうか。使えない場合は、回収して処理するか、場外へ搬出することになります。回収するには、水が集まる形を先に作る必要があります。養生シートを張る、堰を設ける、ポンプで吸い上げる、といった段取りです。橋梁の上や高所、傾斜地では水が落ちていきますので、受ける側の設えを足場の計画とセットで考えます。(関連:現場条件チェックリスト)

この部分は、費用にも工期にも効いてきます。処理設備の規模、回収の手間、場外搬出の有無で、同じ面積の工事でも段取りの量が変わるためです。

そのため、お見積もりを比べるときは「水の処理がどこまで含まれているか」をそろえて確認されることをおすすめします。面積あたりの単価だけを並べると、この工程が入っている見積もりと入っていない見積もりが、同じ土俵に見えてしまいます。(関連:見積書の見方)

発注前に確認しておくと、話が早く進む項目

打ち合わせがスムーズに進むのは、次の点が分かっているときです。

  1. 水をどこから取れるか ― 使える水道の有無、使用許可の見込み
  2. 排水をどこへ流せるか ― 既設の排水設備の有無と、その状態
  3. 対象物に何が塗られているか ― 塗装記録、図面、過去の改修履歴
  4. 敷地内に仮設物を置けるか ― 処理設備やタンク、一時置き場
  5. 近隣の状況 ― 住宅、店舗、駐車場、他工種、稼働中の設備

すべて分からなくても構いません。分かる範囲でお知らせいただければ、残りは現地で一緒に確認します。むしろ、分からないまま進めて着工後に判明するほうが、日程にも金額にも響きます。(関連:ご相談から施工までの流れ)

近隣対応 ― 水は「見えてしまう」からこそ

騒音や振動と違い、濁水には見た目で分かってしまうという性質があります。白く濁った水が道路や側溝を流れていけば、通りがかった方は気になります。適切に処理していても、説明がなければ不安を持たれることがあります。

そこで、着工前に次の3点を近隣へお伝えしておくと、お問い合わせやご心配を減らせます。

飛沫やミストについても、同じ考え方です。(関連:騒音・振動・粉じんの実際)

サンテックは、1993年(平成5年)に北九州で設立した超高圧ウォータージェット工法の専業会社で、日本ウォータージェット施工協会の設立にも参画しました。施工実績は年平均92物件、累計1,500件以上。下水道/マンホールやプラント、稼働中の工場など、水の扱いに気を使う現場も日常的に手がけています。(関連:施工事例一覧)

まとめ

ウォータージェットで出るのは、削り取ったものが混ざった濁水です。火も薬品も使わない工法ですので廃棄物は少なく抑えられますが、処理が要らないわけではありません。扱い方は対象物によって変わり、塗膜に有害物質が含まれる場合やアスベストが関わる場合は段取りが変わります。法令や自治体ごとの判断も関わるため、事前の確認が欠かせません。

発注者の方に事前にご確認いただきたいのは、水の取り方・流し方・対象物の履歴・仮設物の置き場・近隣の状況の5点です。ここが早く決まるほど、工事全体の段取りが早く固まります。

ご相談ください 「この現場の水はどう処理することになりそうか」という段階からで構いません。使える水道がない、排水先が分からない、塗装の履歴が残っていない、といった状態でもお声がけください。条件をうかがったうえで、どのような段取りになりそうかを率直にお答えします。

よくある質問

ウォータージェットで使った水は、そのまま流してよいのですか?
そのまま流せるとは限りません。出てくるのは水だけでなく、削り取ったコンクリート片や塗膜片、サビ、スケールなどが混ざった濁水です。回収して沈殿・ろ過などの処理を行ったり、産業廃棄物として処分したりする必要が生じる場合があります。どこまでの処理が求められるかは、対象物と現場の条件、自治体によって異なりますので、事前の確認が欠かせません。
水はどこから取るのですか?
現場に使える水道があればそこから、なければ給水車や仮設タンクを手配します。給水の取り方は費用にも工期にも関わりますので、打ち合わせの早い段階で確認させていただきます。
塗膜をはがす工事ですが、水の扱いは変わりますか?
変わることがあります。古い塗膜には有害物質が含まれている場合があり、その場合は塗膜片を分けて回収し、産業廃棄物として処分する段取りになります。塗装の種類や施工年、過去の改修履歴が分かる資料があれば、事前にお見せいただけると助かります。
火や薬品を使わない工法なら、廃棄物は出ないのではありませんか?
薬剤の残りや燃焼にともなう廃棄物が出にくいのは事実ですが、「処理が要らない」という意味ではありません。削り取ったものは消えたわけではなく、水と一緒に足元に残ります。工法として廃棄物を少なく抑えられる、という理解が正確です。

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