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工法解説

レイタンスの除去 ― 打継ぎ面と、タイル・塗床・塗装・防水の下地で、いつ・何で取るか

2026-09-26 / SANTEC COLUMN

この記事の要点

  1. レイタンスは、打ち込んだコンクリートの表面にできるぜい弱な層です。 国の仕様書は、打継ぎ面では取り除いて健全なコンクリートを出し、タイルや塗床の下地では「ないこと」を確かめると定めています。
  2. 取る時期は、固まる前と固まった後に分かれます。 固まる前は圧力水やブラシで上面を薄く削り取り(グリーンカット)、固まった後はワイヤブラシ・高圧洗浄機・サンダー・チッピングなどで取ります。
  3. 仕様書が求めているのは、道具よりも取ったあとの面の状態です。 道具は施工計画で選び、水圧で目荒しを兼ねる場合は、試験施工のうえ監督職員の承諾を受けます。

レイタンスとは、コンクリートを打ち込んだあと、内部の微細な粒子がブリーディングに伴って浮上し、コンクリート表面に形成するぜい弱な物質の層のことです。 ブリーディングは、打ち込んだコンクリートの練混ぜ水の一部が上昇する現象を指します。日本コンクリート工学会の報告は、ブリーディングによる水の上昇を、沈みひび割れやレイタンス、砂すじなどの発生要因に挙げました。レイタンスを残したまま次のコンクリートやモルタル、塗料を載せると、一体化や付着を妨げます。この記事では、国の仕様書と公的機関の資料を開き、どの場面でレイタンスを取ると定められているか、いつ・何で取るかを整理しました。

打継ぎ面:レイタンスを取り除き、健全なコンクリートを出す

先に打ったコンクリートに次のコンクリートを打ち継ぐ面について、建築と土木の仕様書は、どちらもレイタンスを取り除くよう定めています。

資料・箇所 場面 原文
公共建築工事標準仕様書 6.6.4(4) コンクリートの打継ぎ 打継ぎ面は、レイタンス及びぜい弱なコンクリートを取り除き、健全なコンクリートを露出させる。
公共建築工事標準仕様書 7.10.3(5)(イ) 鉄骨の柱底均しモルタル コンクリートの表面は、レイタンス等を取り除き、目荒しを行う。
公共建築改修工事標準仕様書 8.7.4(2) 耐震改修で打ち込んだ後にグラウトを行う上面 コンクリートを打込んだ後、グラウトを行う場合は、コンクリート上面のレイタンス及びぜい弱なコンクリートを取り除き、健全なコンクリートを露出させる。
土木工事共通仕様書 1-3-6-7 4. 硬化したコンクリートへの打継ぎ 硬化したコンクリートの表面のレイタンス、緩んだ骨材粒、品質の悪いコンクリート、雑物などを取り除き吸水させなければならない。

取り除く対象には、レイタンスのほかに、建築ではぜい弱なコンクリート、土木では緩んだ骨材粒や品質の悪いコンクリートが含まれます。

土木の同じ条文は、構造物の品質を確保するために必要と判断した場合の手順も定めています。旧コンクリートの打継面を「ワイヤブラシで表面を削るか、チッピング等により粗にして十分吸水させ」、セメントペーストやモルタルなどを塗ってから打ち継ぐ手順です。鉄骨の柱底均しモルタルの条文も、レイタンスの除去と目荒しを1つの文に並べました。

タイルと塗床の下地:レイタンスが残っていないことを確かめる

仕上げの下地では、仕様書の書き方が「取り除く」から「ないことを確かめる」に変わります。タイル張りの前の確認は、公共建築工事標準仕様書の11.1.6に次のようにあります。

タイル張りに先立ち、下地モルタル又は下地調整塗材について、次の項目の確認を行い、不具合が発見された場合は、直ちに確認結果を監督職員に報告し、不良箇所を補修する。

(イ) 汚れ、レイタンス等の接着上有害な付着物がないこと。

(国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」11.1.6)

確認の対象は、タイルを張る直前の下地モルタルや下地調整塗材の面です。下地モルタルを塗る前のコンクリートの面は、15.3.4[下地処理]が扱います。壁面はデッキブラシ等で水洗いを行い、「モルタルの接着を妨げるものを除く」と定められています。高圧水洗処理で目荒しを行う場合は、試験施工を行い、目荒しの状態について監督職員の承諾を受けます。タイル下地の処理方法そのものは、11.2.6で「特記による」とされました。

既存のタイルを剥がして張り替えるときの下地処理は外壁タイルの剥離で、目荒らしの程度の決め方は超高圧洗浄による目荒らしで扱っています。

塗床の下地は、19.4.3(1)に乾燥の日数と確認の項目が並びます。コンクリート下地は施工後28日以上放置して乾燥させ、「レイタンスやぜい弱部がないこと確認する」とされています。既存の塗床を剥がして塗り替える場合は、エポキシ樹脂塗床の除去方法で整理しました。

塗装・防水の下地:付着を妨げるものを取り、乾かしてから施工する

土木の塗装では、レイタンスの名前が条文に出てきます。土木工事共通仕様書の3-2-3-11[コンクリート面塗装工]は、素地調整を次のように定めました。

受注者は、コンクリート表面に付着したレイタンス、塵あい(埃)、油脂類、塩分等の有害物や脆弱部等、前処理のプライマーの密着性に悪影響を及ぼすものは確実に除去しなければならない。

(国土交通省「土木工事共通仕様書(案)」令和8年3月 3-2-3-11 1.(1))

建築の塗装では、コンクリート面の素地ごしらえを表18.2.5が定めています。工程2の「汚れ、付着物除去」は、「素地を傷つけないように除去する」という書き方です。

既設の構造物に表面被覆を施す場合について、土木研究所のマニュアルは、素地調整の方法を2つに分けています。水を使う湿式と、ブラスト工法やディスクサンダーなどの動力工具を使う乾式です。湿式では施工面が湿潤状態になるため、材料によっては乾かす工程が要ります。乾式では粉じん等が発生するため、保護メガネや防じんマスクの着用が必須とされています。

防水の章が定めているのは、下地のつくり方と乾燥です。9.2.4は、アスファルト防水の平場を床コンクリート直均し仕上げとし、プライマーを「コンクリート下地等が十分乾燥した後に清掃を行い、塗布する」と定めました。9.1.3によれば、下地の乾燥が不十分な場合は施工を行わない決まりです。

橋の床版の防水について、土木工事共通仕様書の3-2-6-6は、日本道路協会の「道路橋床版防水便覧」によるとし、床版面の前処理を適切に実施するよう求めています。屋上の防水改修で既存の防水層を撤去したあとの下地処理は、防水層の撤去工法にまとめました。

いつ取るか:打込み中・固まる前・固まった後

資料を並べると、レイタンスを取る時点は3つあります。

時点 すること(原文) 資料
打込み中 打込み中に発生した表面のブリーディング水、レイタンス等は取り除く。 中国地方整備局の手引き(10.打込み)
固まる前 まだ十分に固まっていない段階で、圧力水やブラシを用いた機械でコンクリート上面を薄く削りとり、レイタンスを除去する作業を行うことをグリーンカットという。 中部地方整備局 庄内川河川事務所「ダム百科事典」
固まった後 硬化したコンクリートの表面のレイタンス、緩んだ骨材粒、品質の悪いコンクリート、雑物などを取り除き吸水させなければならない。 土木工事共通仕様書 1-3-6-7

固まる前の処理は、打設が終わってからの時間で段取りします。林野庁の新城営林署が昭和56年度に発表した治山工事の報告では、コンクリート面に立ち入って跡がつかない程度まで硬化してから除去を始めていました。報告はこの時期を「品質的にも影響がなく、しかもレイタンスが除去できる時期」と説明しています。

打設の時期 打設終了から除去を始めるまで(目安)
冬期(12月〜3月) 約16〜17時間
夏期(7月〜8月) 約3〜4時間
その他の時期 約6〜7時間

この表は、ポンプ打設による署内の目安です。報告自身が、地域や状況によって異なると書き添えています。

ダムの水平打継目について、土木工事共通仕様書は処理の時期を「監督職員と協議しなければならない」と定めました(9-1-4-11)。やむを得ずチッピングを行う場合は、監督職員の承諾が要ります。

打継ぎの間隔で方法を変えた例もあります。国土技術政策総合研究所がまとめた遠野ダムの補修では、リフトの打継目のレイタンスをワイヤブラシと高圧洗浄機で処理しました。4週以上あいた打継ぎ面には、チッピング処理を実施しています(関連:ダムの補修工事)。

何で取るか:資料に出てくる道具と場面

国と公的機関の資料に出てくる道具を、時期と場面で並べました。

道具・方法 時期 資料と場面
圧力水やブラシを用いた機械(グリーンカット) 固まる前 中部地方整備局:ダムのコンクリート上面
高圧の空気や水で除去し、粗骨材を露出させる 固まる前(凝結した後) 山口県建設技術センター:打継ぎ面
遅延剤を散布して硬化を遅らせる 固まる前 山口県建設技術センター:打継ぎ面
高圧の空気や水を吹き付けて入念に洗う 固まった後 山口県建設技術センター:打継ぎ面
ワイヤブラシで表面を削る・粗くする 固まった後 土木工事共通仕様書 1-3-6-7(打継面)/山口県建設技術センター
金ブラシ・ワイヤブラシ・高圧洗浄機・圧力水等 打継ぎの前 中国地方整備局(水平打継目の処理の例)/土木工事共通仕様書 8-1-8-4(砂防堰堤の水平打継目)/遠野ダムの補修
チッピング 固まった後 土木工事共通仕様書 1-3-6-7(必要と判断した場合)/9-1-4-11(ダムはやむを得ない場合に承諾)
サンダー・ディスクサンダー 既設の面 土木工事共通仕様書 10-14-14-3(床版に鋼板を接着する面)/10-16-24-4(橋脚に鋼板を巻き立てる面)
高圧水洗処理による目荒し 固まった後の壁面 公共建築工事標準仕様書 15.3.4(4)(モルタル塗り・タイルの下地)
水を使う湿式/ブラスト工法・ディスクサンダーなどの乾式 既設の面 土木研究所のマニュアル:表面被覆の素地調整

固まる前は、水とブラシが中心です。時間がたった面や既設の面では、サンダーやチッピングのように面を削る道具が加わります。橋脚の鋼板巻立てでは、打設後10日以上経た表面のレイタンスを、サンダーやワイヤブラシ、シンナーを含ませた布等で除去するという条文もあります(10-16-24-4 24.)。

仕様書が求めているのは、取ったあとの状態

道具の名前が出てくる条文でも、多くは「チッピング等」「圧力水等」「サンダー等」のように「等」が付いています。求められるのは面の状態です。

道具は、求められる状態を出せるものを施工計画で選びます。手続きが付く場面もあり、建築で高圧水洗処理により目荒しを行うなら、試験施工と監督職員の承諾が前提です。ダムでやむを得ずチッピングを行う場合も、監督職員の承諾を受けます。

ウォータージェットを使う場面:固まった面で、目荒しと一緒に取るとき

ウォータージェットは、超高圧の水の水圧でコンクリートの表面を取り除く工法です。水は、隙間の多い劣化部に入りやすく、健全で緻密な部分には入りにくい性質があります(関連:高圧洗浄でコンクリートは削れるか)。

選択肢に入るのは、固まった後の打継ぎ面や仕上げの下地で、レイタンスを取る作業と表面を粗にする作業を一度に行う場面です。建築の仕様書では、水圧を使う目荒しは試験施工を行い、目荒しの状態について監督職員の承諾を受けてから進めます。どこまで荒らすかの決め方は、超高圧洗浄による目荒らしにまとめました。

水を使う工法なので、工程に入れるものが2つあります。

レイタンスだけを取ればよい面なら、資料に出てくる道具はワイヤブラシ、高圧洗浄機、サンダーです。面積、次に載せる材料、乾かす日数の3つを並べて選ぶと、工程が組みやすくなります。

着工前に確認すること

  1. どの面のレイタンスかを決める。 打継ぎ面か、タイル・塗床・塗装・防水の下地か。求められる状態も、当てる条文も変わります
  2. 固まる前に取れる工程かを確かめる。 打設の終了から除去を始めるまでの時間は、季節で変わります。固まる前に取れなかった面は、固まった後の処理になります
  3. 特記仕様書を読む。 タイル下地の処理方法は「特記による」とされています。ダムでは処理の時期を監督職員と協議します
  4. 水と粉じん、乾燥の日数を工程に入れる。 湿式なら濁水の処理と乾燥、乾式なら粉じんの対策が要ります
  5. 目荒しを兼ねるなら、試験施工の場所と立会いを決める。 承諾を受けた面が、本施工の基準になります

まとめ

レイタンスは、打ち込んだコンクリートの表面にできるぜい弱な層です。 打継ぎ面では取り除いて健全なコンクリートを出し、タイルや塗床の下地では残っていないことを確かめます。取る時点は、打込み中・固まる前・固まった後の3つです。固まる前は圧力水やブラシで上面を薄く削り、固まった後はワイヤブラシ・高圧洗浄機・サンダー・チッピングなどを使います。

仕様書が求めているのは、取ったあとの面の状態で、道具は施工計画で選びます。ウォータージェットは、固まった面でレイタンスの除去と目荒しを一度に行う場面で選択肢に入る工法です。使う場合は、乾燥の日数と濁水の処理を工程に入れることになります。

ご相談ください どの面のレイタンスか(打継ぎ面か、仕上げの下地か)と特記仕様書を教えていただければ、ウォータージェットで段取りが組めるかどうかを率直にお答えします。 ブラシや高圧洗浄機で足りる面なら、その旨をお伝えします。株式会社サンテックは創業から30年以上、超高圧ウォータージェット工法を専業としてきました。


本記事で参照した資料

いずれも原典を開いて確認したうえで記載しています。特記仕様書がJASS 5(日本建築学会)やコンクリート標準示方書(土木学会)を指定している場合は、指定された版の規定を当ててください。仕様書は改定されます。 工事の計画には、発注時点の最新版と、その工事の特記仕様書をご確認ください。

よくある質問

レイタンスとは何ですか?
コンクリートの表面にできる、ぜい弱な物質の層です。打ち込んだあと、内部の微細な粒子がブリーディングに伴って浮上して形成されます。残したまま次のコンクリートやモルタルを載せると付着を妨げるため、打継ぎや仕上げの前に取り除く必要があります。
レイタンスはいつ除去しますか?
打込み中、固まる前、固まった後の3つの時点があります。固まる前の除去はグリーンカットと呼ばれ、まだ十分に固まっていない段階で、圧力水やブラシで上面を薄く削り取る作業です。ダムの水平打継目では、処理の時期を監督職員と協議します。
レイタンスは高圧洗浄で除去できますか?
できます。中国地方整備局の手引きは、打継部のレイタンスを金ブラシや高圧洗浄機で除去する例を示しています。高圧水洗処理で目荒しも兼ねる場合は、試験施工を行い、目荒しの状態について監督職員の承諾を受けます。
ワイヤーブラシとディスクサンダーは、どう使い分けますか?
国の仕様書では、主に出てくる場面が違います。ワイヤブラシは打継面の処理で、サンダーやディスクサンダーは既設の床版や橋脚に鋼板を接着・巻き立てる前の処理で使われています。道具は、求められる面の状態に合わせて施工計画で選びます。
タイルや塗装の下地でも、レイタンスを取る必要がありますか?
あります。公共建築工事標準仕様書は、タイル張りの前に下地モルタル等に「レイタンス等の接着上有害な付着物」がないことを確認するとしています。土木工事共通仕様書では、コンクリート面の塗装の前に、レイタンスを確実に除去する決まりです。

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