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工法解説

橋梁補修の「新技術」とNETIS ― 登録番号は何を意味し、何を意味しないのか

2026-08-18 / SANTEC COLUMN

「橋梁 補修 新技術」で調べはじめると、ほぼ必ず NETIS(新技術情報提供システム)に行き着きます。国土交通省が運用している、新技術のデータベースです。

ところが、そこから先が分かりにくい。登録番号は何を表しているのか。登録されていることは、性能が認められたということなのか。 ここが曖昧なまま「NETIS登録工法です」という言葉だけが独り歩きしている場面を、私たちもよく見かけます。

この記事では、NETIS本体と国土交通省の資料を開いて確認できたことだけをお伝えします。

「新技術」と呼ばれているものの中身は、多くが機械化・自動化です

NETISでキーワード「ウォータージェット」を検索したところ、掲載中の技術は 40件 でした(2026年8月18日時点)。橋梁補修に関わるものを抜き出します。

登録番号 技術名称 開発会社 NETISに記載された「従来技術」
CB-180013-VE ウォータージェットはつり処理工法(ジェットマスター JMK-2100) キクテック・久野製作所・第一カッター興業 ウォータージェット・ハンドガン工法
KK-240056-A ウォータージェットはつり工法 SCR・タマエ ウォータージェットハンドガン
KT-250006-A ミストジェット工法(高架橋壁高欄の旧塗膜・脆弱部除去) サーフェステクノロジー ディスクサンダー

注目していただきたいのは、いちばん右の列です。3件のうち2件は、「従来技術」の欄にウォータージェットのハンドガンと書かれています。

つまりこの分野の「新技術」の多くは、水で削るという原理そのものを変えたものではありません。人が手で持っていたノズルを、機械に持たせて自動で動かす方向の技術で、比較されているのは持ち方と動かし方のほうです。(関連:ウォータージェットはつりと打撃のはつりの違い)

なお CB-180013-VE は、令和6年度に国土交通省の「推奨技術」に選定されています。 先にお断りしておきます。この登録はキクテック・久野製作所・第一カッター興業の3社によるもので、当社サンテックは登録者ではありません。 当社の立ち位置は記事の後半で改めて書きます。

NETISが保証しているもの、していないもの

NETISのトップページと、国土交通省の「新技術活用スキームパンフレット」には、同じ趣旨の注意事項が書かれています。

NETIS掲載情報は、当該技術に関する証明、認証その他何ら技術の裏付けを行うものでもなく、新技術活用にあたっての参考情報です。

申請情報は、技術開発者からの申請に基づく情報であり、その内容について、国土交通省が評価等を行っているものではありません。

登録は、性能の証明でも認証でもないと、運用している側が明記しています。NETISは申請情報と評価情報から構成され、このうち申請情報は開発者が書いた内容がそのまま載る仕組みです。CB-180013-VEの詳細ページには、期待される効果として次の記載があります。

人力によるウォータージェットはつり処理と比較し、約10倍(当社実績)の施工能力。

「当社実績」と明記されています。 ページ内には「上記※印の情報と以下の情報は申請者の申請に基づき掲載しております」とも書かれています。数字が怪しいという意味ではなく、その性格がきちんと開示されているということです。読む側は「これは申請情報か、評価情報か」を見分けて使います。(この工法そのものと数字の読み方は別記事で扱っています。関連:はつりの機械と人の使い分け)

登録番号は4つの部分でできています

パンフレットの定義は次のとおりです。

登録番号 = 登録地方整備局等識別記号 - 登録年度番号・受付番号 - 情報種別記号

このうち末尾の情報種別記号が、いちばん実務に効きます。

記号 意味
-A 事後評価の結果が掲載されていない技術
-VR 事後評価の結果、継続調査等の対象となった技術
-VE 事後評価の結果、継続調査等の対象としない技術

先ほどの表の CB-180013-VE と KK-240056-A は、同じ土俵に立っていません。 前者は事後評価を終えた技術、後者はまだ評価結果が載っていない技術です。番号の末尾だけで、そこまで分かります。

もうひとつ、掲載期間には期限があります。 登録した翌年度の4月1日から起算して10年、推奨技術・準推奨技術に選定された場合は15年です。以前に見た番号が今も有効とは限りません。

「有用な新技術」は4種類あり、数はかなり絞られます

国土交通省は、登録技術の中から外部有識者の審査を経て「有用な新技術」を選定しています。

区分 誰が選定するか 掲載件数
推奨技術 本省の新技術活用スキーム検討会議 51件
準推奨技術 同上(推奨技術とするには更なる発展を期待する部分があるもの) 33件
活用促進技術 各地方整備局等の新技術活用評価会議 306件
評価促進技術 本省の検討会議(他機関等の実績に基づく) 4件

件数は2026年8月18日にNETISで検索して数えたものです。同じ日の検索で、掲載中の技術は全体で3,970件。推奨技術はそのうち51件ですので、かなり絞られていることが分かります。

工事成績評定への加点にも触れておきます。施工者選定型で活用して効果があった場合、主任技術評価官で最大2点の加点があります(令和6年4月時点)。ただし配点表では、事後評価未実施の-A技術でも効果が「相当程度」と認められれば2点、「有用とされる技術」以外の-VE技術は1点です。位置付けが高いほど加点が大きい、という単純な仕組みではありません。

適用範囲まで読むと、選ぶ基準が変わります

登録技術には、適用できる範囲だけでなく「適用できない範囲」も明記されています。 これは制限ではなく、むしろNETISの良いところです。CB-180013-VEの場合、こう書かれています。

橋の上に車両を寄せられるか、施工箇所まで150m以内か。 工法の優劣より先に、この条件が効いてきます。(関連:床版はつりと供用下・夜間規制の組み立て方)

当社の立ち位置を正直に書きます

ハンド直射ガン。長い延長パイプの先に噴射口があり、本体には自社で付けたカバーと肩当てが見える

繰り返しになりますが、当社サンテックは、この記事で紹介したCB-180013-VEの登録者ではありません。

当社がやっているのは、その登録の「従来技術」欄に書かれているハンドガンによる施工そのものです。1993年の設立以来、超高圧ウォータージェット工法を専業として続けてきました。対応分野は12分野、施工実績は年平均92物件、延べ施工面積は46万㎡。元請け様から安全表彰をいただいたこともあります。

そのうえで申し上げると、機械が入る現場では、機械のほうが速いです。 水平で広い床版面に車両を寄せられるなら、自動で反復動作する装置に人が敵わない領域があります。逆に曲面や立面、狭所、複雑な形状は、人が持って角度と速さを調整するしかありません。(関連:ウォータージェットの苦手なこと)

なお、登録は開発者が自ら申請して行うものです。「登録がない=その施工をしていない」ではありません。ここは私たち自身が当事者なので、割り引いて読んでいただいて構いません。

まとめ ― 発注前に確認できる3つのこと

NETISは、橋梁補修の新技術を調べるうえでとても有用なデータベースです。ただし登録そのものは、性能の証明でも認証でもありません。これは私たちの見解ではなく、NETISと国土交通省の資料に明記されている内容です。資料に登録番号が出てきたら、次の3つを見てください。

# 確認すること 具体的に
1 番号の末尾 -A/-VR/-VE で、事後評価まで進んでいるかが分かります
2 数字の出どころ 申請情報(開発者の申請)か、評価情報(活用結果に基づく評価)か
3 適用範囲・適用できない範囲 自分の現場が前提条件に入るか。とくに車両の配置と離隔

「NETIS登録工法です」という一言より、ずっと多くの情報が手に入ります。なお、新技術を積算でどう扱うかは論点が独立しているため、別記事で原文を引いて整理しています。(関連:ウォータージェットはつりの積算・歩掛)

ご相談ください 「この現場に新技術の機械が入るのか、人の手でやるしかないのか」という切り分けからで構いません。図面と現況写真、作業できる時間帯をうかがえれば、条件に合うかどうかをお伝えします。当社で対応が難しい場合や、別の工法・別の会社のほうが良い場合は、そのようにお伝えします。 株式会社サンテックは1993年の設立以来この工法だけを手がけ、日本ウォータージェット施工協会の会員として現場を重ねてきました。(関連:業者の選び方)


本記事で参照した資料

いずれも原典を確認したうえで記載しています。検索件数は2026年8月18日時点のものです。 登録技術は追加・更新され、掲載期間の満了もありますので、ご検討の際はNETISで最新の情報をご確認ください。

よくある質問

NETISに登録されていれば、その工法の性能は国が保証しているのですか?
いいえ。NETISと国土交通省のパンフレットの両方に、「NETIS掲載情報は、当該技術に関する証明、認証その他何ら技術の裏付けを行うものでもなく、新技術活用にあたっての参考情報です」と明記されています。とくに申請情報は技術開発者の申請に基づく情報で、国土交通省が評価等を行ったものではない、とも書かれています。
登録番号の末尾についているA・VR・VEは何が違うのですか?
情報種別記号です。Aは事後評価の結果が掲載されていない技術、VRは事後評価の結果として継続調査等の対象となった技術、VEは事後評価の結果として継続調査等の対象としない技術を指します。番号は「登録地方整備局等識別記号-登録年度番号・受付番号-情報種別記号」という構造になっています。
橋梁補修のウォータージェットに、NETISの推奨技術はありますか?
あります。CB-180013-VE「ウォータージェットはつり処理工法(ジェットマスター JMK-2100)」が令和6年度に推奨技術へ選定されています。開発会社は株式会社キクテック・株式会社久野製作所・第一カッター興業株式会社の3社です。当社サンテックはこの登録の保有者ではありません。
NETIS登録のない会社には頼まないほうがよいのでしょうか?
登録は工法や製品ごとに、開発者が自ら申請して行うものです。申請するかどうかも開発者の判断によります。そのため登録の有無は、その会社が同種の施工をしているかどうかとは別の情報になります。判断材料のひとつとしては有効ですが、それだけで絞り込むと選択肢が実態より狭くなることがあります。
新技術を使うと工事成績評定で加点されますか?
施工者選定型で活用して効果があった場合、加点の対象になります。パンフレット(令和6年4月)では主任技術評価官で最大2点とされています。ただし配点は技術の位置付けで変わり、事後評価未実施の-A技術で効果が相当程度と認められた場合も2点です。位置付けが高いほど加点が大きい、という単純な仕組みではありません。

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