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工法解説

ウォータージェットはつりの機械 ― 国の推奨技術に選ばれた自動機と、人がハンドガンを持つ施工の使い分け

2026-08-18 / SANTEC COLUMN

「ウォータージェット はつり 機械」で調べる方が知りたいのは、おそらく次の一点だと思います。この工法は、機械が削るのか。それとも人が道具を持って当てているのか。 ここが決まらないと、1日にどれだけ進むのかも、品質がばらつくのかも決まりません。

先に当社のことを申し上げます。株式会社サンテックは、独自の機械化はしていません。既存の機械を使って一部を機械化してはいますが、施工の中心は人がハンドガンを持つ方式です。

一方で、業界には機械化の流れが確かにあります。国土交通省が推奨技術に選んだ自動機もありますが、それは他社の技術です。 この記事では、その選定資料を開いて確認したうえで、機械が向く現場と、人でなければ届かない現場を整理します。

まず、「機械か人か」は3つに分かれます

マグネットクローラーの実機。左右の車輪の間に回転ノズルのヘッドがあり、上部に吸引ホースが2本つながっている

ウォータージェットの施工は二択ではありません。噴射の反力を誰が支えるかで3つに分かれます。人が支えるハンドガン、人が支えつつ飛散と音を装置側で処理する吸引型アクアブラスト、装置自身が磁力や機体重量で支える自走式・自動機です。同じ「はつる」でも、この3つは別の仕事に近いものです。なお、吸引型アクアブラストで落とせるのは削れる深さ3mm程度の表面処理までです。深いはつりは、人が直射ガンで行います。 装置ごとの数値は別記事にあります。(関連:装置構成とガンの使い分け)

国が推奨技術に選んだ自動機があります(当社の技術ではありません)

国土交通省は令和6年5月9日、公共工事等での活用を促進するため、有用な新技術10件を選定しました。そのうち推奨技術に選ばれた1件が、ウォータージェットの技術です。

項目 内容(選定資料の記載)
技術名称 ウォータージェットはつり処理工法
副題 ジェットマスターJMK-2100
NETIS登録番号 CB-180013-VE
申請者名 株式会社キクテック
技術開発者 株式会社キクテック、株式会社久野製作所、第一カッター興業株式会社
区分 令和6年度 推奨技術①

念のため明記します。この登録技術は当社のものではありません。 当社は申請者でも技術開発者でもありません。

「推奨技術」は「公共工事等に関する技術の水準を一層高めるために選定された画期的な新技術」と定義され、資料にはこれまでの5件に今回の1件を加えた数とあります。技術の内容はこう書かれています。

本技術は、人力では保持が不可能であった、大水量の超高圧水を機械に保持させ噴射し、さらにノズルユニットを自動的に駆動させることで、安定的、均一にはつり作業を行います。

「人力では保持が不可能であった水量」。人が持てる水量には限界があり、そこを超えるために機械に持たせた技術です。

「約10倍の施工能力」の読み方

「技術の効果」には次の一行があります。

・人力ウォータージェットはつり処理と比較し、約 10 倍(当社実績)の施工能力。

確かに国の資料に載っている数字です。そのうえで、原典の但し書きも一緒にお読みください。

むしろ、条件が合う現場では機械のほうが圧倒的に速いというのが実感です。

適用範囲を読むと、機械が本領を発揮する現場が分かります

マグネットクローラーの回転ヘッドを正面から見たところ。アームにノズルが並んで取り付けられている

実務でいちばん役に立つのは「技術の適用範囲」です。原文どおり引きます。

・水平面全般、道路勾配 7%以下、はつり処理幅は 300mm~無段階に可変可能、 はつり処理深さは 30~300mm まで調整可能 ・コンクリート床版 ・鋼製床版上のグースアスファルト等 ・伸縮装置の更新

読み取れるのは、対象が水平面だということです。処理幅300mm以上・深さ30〜300mmは、橋梁の床版補修で必要になる範囲にあたります。これは弱点ではなく、床版の仕事のために作られた機械が、床版の仕事で10倍の能力を出しているという筋の通った話です。

慎重に申し添えます。資料に書かれているのはここまでで、「垂直面ではどうか」「狭所ではどうか」の記載はありません。推測で断定するのは適切でないので、適用可否は開発者にご確認ください。

サンテックが機械化していない理由

当社は、独自の機械化はしていません。 削りカスと洗浄水をその場で吸い込む吸引型アクアブラスト、鋼面に磁力で吸着して自走するマグネットクローラーといった既存の装置で一部を機械化しているだけで、どちらも当社が開発したものではありません。

理由は、回ってくる仕事の形にあります。 床版を面で一律に落とす仕事なら、機械を持つ会社のほうが合理的です。私たちがお引き受けしているのは、橋脚の立ち上がり、桁の下面、入隅と取り合いが混じる箇所、劣化した部分だけを選んで取る仕事です。当社が施工した約60cm角・高さ約2mの塔の内部は、自走式の装置も遠隔操作の装置も入らず、人が体を折って入るしかない現場でした。(関連:ハンドガン職人の世界)

当社が使っている機械

当社が現場へ持ち込む装置を、上から順に挙げます。

マグネットクローラー。 NLB社製で、内部の磁石が鋼面に吸着し、リモコンで遠隔操作します。ヘッドには7×2の14基のノズルが並び、回転しながら面で塗膜を落とす。削りカスと水は同時に吸い込みます。磁力が強いので、スマートフォンを近づけると壊れます。当社が確認した範囲では、この機種を保有しているのは国内で当社だけです。

超高圧水発生装置。 4t車に積んで現場へ入ります。内部ではプランジャーという押し出し役が3本連動し、200MPaの水を安定して供給する仕組みです。一般的な高圧洗浄機の上限が8MPa程度なので、その25倍にあたります。取り込んだ水は装置内のフィルターでろ過。混じり気のない水でなければ、超高圧はつくれません。

プランジャーポンプヘッド。 中でピストン運動をして水を押し出す部分です。消耗品が多く、ここに手が入る頻度がいちばん高い。この交換とメンテナンスを社内でやれることが、当社の強みのひとつです。

破裂板。 圧が上がりすぎたときに、中のディスクが破れて圧を逃がす安全装置。

超高圧水切り替え装置。 発生装置から来た水を、ガン側とドレン側へ振り分けます。作業者がトリガーを握るとエアーで内部が切り替わり、ガンから水が出る。握っていない間は、逃がし水として流れています。

アブレーシブ切断装置。 水だけでは金属を切れません。ガーネットという研磨材を負圧で吸い込ませて水に混ぜると、鉄が切れるようになります。チェーンを対象に巻きつけ、エアーモーターで巻き取りながら円周を切っていく装置です。火花が出ないため、石油化学プラントの解体など、火気を持ち込めない現場で使われます。

操作盤と水圧計。 セルでエンジンをかけ、回転数を上げながら昇圧していきます。水圧計はbar表記で、運転の目安は2,000バール。200MPaにあたります。

機械が向く条件と、人が要る条件

見る点 機械が向く 人(ハンドガン)が要る
面の向き 水平な床版・上向きの面 立ち上がり、下面、天端、入隅
形状 平らで一定 曲面・段差・取り合いが混在
削り方 全面を一律の深さで 部分ごとに削り分ける
数量・幅 300mm以上を大量・連続に 細い範囲、小規模・分散
進入 機体を据えられる 人しか入れない狭所

※機械側の条件は、前掲の選定資料の適用範囲に基づきます。装置により仕様は異なります。

この表の左右は、優劣ではありません。 左に寄る現場なら、機械を持つ会社にご相談されるほうが合理的だと思います。

「一定に削る」と「見ながら削る」

選定資料は「等速走行、反復運動により一定の品質を確保できる」とし、人力施工については「作業員の技量により施工品質にばらつきがありました」と述べています。機械の価値は速さだけでなく、ばらつきが出ないことです。人がやる以上、技量の差が出るのは事実です。

一方、補修の現場には一律の深さで進められない仕事があります。当社は削り終えた面を打音とテストハンマーで確認しながら加減しています。ただし削り分けの判断が機械にできないという意味ではありません。 資料に記載がなく、断定できることではないためです。(関連:ウォータージェットはつりとは)

まとめ

ウォータージェットのはつりに、機械化された工法は実在します。 ただしそれは株式会社キクテックの登録技術で、適用範囲は水平面全般・コンクリート床版など、床版の仕事のための機械です。「約10倍」も、その条件下での申請者ご自身の実績値です。サンテックは独自の機械化をしていません。

分かれ目は「水平で広い面を一律に落とすのか」「形が入り組み、削り分けが要るのか」。現場の形が、使える工法を決めます。(関連:工期はどう決まるか/費用は何で決まるのか/デメリット7つ)

ご相談ください 「この現場は機械で落とせるのか、人の手が要るのか」という切り分けからお答えします。図面や現場写真をいただければ、機械を持つ他社のほうが合理的な場合はそのようにお伝えします。 株式会社サンテックは1993年の設立以来、超高圧ウォータージェット工法だけを手がけてきた専業の施工会社です。土木・建築・プラントなど12分野で、年平均92物件・延べ施工面積46万㎡の実績があり、元請け様からの安全表彰もいただいてきました。狭所の施工や、他社で断られた案件のご相談も日常的にお受けしています。


本記事で参照した資料

いずれも原典のPDFを開いて確認したうえで引用しています。CB-180013-VEは株式会社キクテックの登録技術であり、株式会社サンテックの登録技術ではありません。 当該工法の詳細・適用可否は登録者・開発者へお問い合わせください。NETISの登録情報は更新される場合があります。

よくある質問

ウォータージェットのはつりは、機械がやるのですか、人がやるのですか?
両方あります。コンクリート床版のような水平で広い面を一律に削る仕事には、超高圧水を機械に保持させて自動で駆動させる装置があります。一方で、立ち上がりや入隅、狭所、部分的に削り分ける仕事は、人がハンドガンを持って施工します。現場の形と削り方で分かれます。
サンテックは機械化した施工をしていますか?
独自の機械化はしていません。削りカスと水をその場で吸い込む吸引型アクアブラストや、鋼面を磁力で自走するマグネットクローラーといった既存の装置を使って一部を機械化していますが、施工の中心は人がハンドガンを持つ方式です。
国が推奨技術に選んだウォータージェットの機械があると聞きました。サンテックの技術ですか?
いいえ、当社の技術ではありません。国土交通省が令和6年度の推奨技術に選定した「ウォータージェットはつり処理工法(ジェットマスターJMK-2100)」(NETIS登録番号 CB-180013-VE)は、株式会社キクテックが申請者で、同社・株式会社久野製作所・第一カッター興業株式会社が技術開発者です。当社は申請者でも技術開発者でもありません。
「人力と比べて約10倍の施工能力」という数字は、どう読めばよいですか?
国土交通省の選定資料に記載されている数字です。ただし原典には「(当社実績)」という但し書きが付いており、申請者ご自身の実績値です。また同じ資料の適用範囲は水平面全般・道路勾配7%以下・コンクリート床版などと定められています。その条件下での比較として読むのが正確です。
狭い場所や複雑な形状も、機械でできますか?
装置ごとに使える条件が決まっているため、一律にはお答えできません。当社が施工した現場には約60cm角・高さ約2mの塔の内部があり、ここは自走式の装置も入りませんでした。人が持って当てられる分だけ、入れる場所は広がります。
サンテックは、どんな機械を持っているのですか?
ハンドガンに超高圧水を送る4t車搭載の発生装置(プランジャー3本・200MPa)、鋼面を磁力で自走するマグネットクローラー(NLB社製・ノズル14基)、ガーネットを混ぜて金属を切るアブレーシブ切断装置などです。発生装置の心臓部にあたるプランジャーポンプヘッドは消耗品が多く、その交換とメンテナンスを社内で行っています。

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