この記事の要点
- 市場単価「コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)」で拾えるのは、健全なコンクリートの表面を粗にする処理までです。 土木工事標準積算基準書(共通編)の第Ⅵ編 第2章 市場単価の⑮に収録されています。
- 劣化部の除去と、配筋部におよぶ作業は、市場単価が適用できない「特別調査」の扱いです。 国の標準歩掛の断面修復工(左官工法)も、はつりの器具は電動ピックとディスクサンダを前提にしています。
- ウォータージェットで劣化部を取る作業の金額は、見積で決まります。 積算の前に、特記仕様書で作業の目的(表面を粗にするのか、劣化部を取るのか)を確かめます。
コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)とは、ウォータージェットで健全な既設コンクリートの表面を粗にする処理作業を、1㎡あたりの市場単価で積算する工種です。 土木工事の積算基準書では、ウォータージェットでコンクリートを処理する作業の単価として、この工種が置かれています。劣化部を取り除くはつりは、適用範囲の外です。積算基準書と標準歩掛の原文を開き、目荒らしとはつりが積算でどう分かれるかを整理しました。
コンクリート表面処理工は、第Ⅵ編 第2章 市場単価の⑮にあります
国の土木工事標準積算基準書(共通編)で、ウォータージェットの項目がある位置は次の表のとおりです。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 編 | 第Ⅵ編 土木工事標準単価及び市場単価 |
| 章 | 第2章 市場単価 |
| 項目 | ⑮ コンクリート表面処理工(ウォータージェット工) |
| 規格・仕様と単位 | コンクリート表面処理(㎡) |
市場単価は、機械・労務・材料をまとめた施工単位あたりの単価で、歩掛の編ではなく第Ⅵ編にまとめられています。索引は「はつり」や「断面修復」ではなく、「表面処理」で引きます。
国の基準書は、一般財団法人 建設物価調査会が発行する書籍です(監修は国土交通省大臣官房技術調査課)。島根県の建設工事積算基準(令和7年10月1日以降適用)は、国の基準書を適用基準とし、第2章 市場単価の⑮も国の基準書によると定めています。令和8年4月1日以降の適用分でも、⑮は対象のままです。⑮の本文は、静岡県・広島県の基準書と日本下水道事業団の積算基準で開き、適用範囲が同じ文言であることを確かめました。
市場単価で拾えるのは、健全なコンクリートの表面を粗にする処理までです
⑮の「市場単価が適用できる範囲」は、1項目だけです。
ウォータージェットシステムを用いた健全な既設コンクリート構造物の表面を粗にすることを目的とした処理作業。
(静岡県「土木工事標準積算基準書(第6編 土木工事標準単価及び市場単価)」令和7年10月 ⑮ 1-1。広島県の基準書、日本下水道事業団の積算基準も同じ文言)
条件は2つあります。対象が健全な既設コンクリートであることと、目的が表面を粗にすることです。新しいコンクリートやモルタルを付着させるために健全な面を粗くする目荒らしが、ここに入ります。洗浄・目荒らし・はつりの区別は、高圧洗浄でコンクリートは削れるかで仕様書の側から整理しました。
単価には、ウォータージェット作業に関わる機械設備一式と、清水の調達・濁水処理の費用が含まれます。沈殿物の処分費、足場などの仮設工、交通誘導警備員は、単価の外に置かれています。装置の費用の入り方は、超高圧水発生装置の損料にまとめました。
劣化部の除去と、配筋部におよぶ作業は「特別調査」です
同じ⑮の「市場単価が適用できない範囲」には、「特別調査等別途考慮するもの」として表1.1の作業が並びます。作業の目的ごとに並べ直すと、次のとおりです。
| 作業の目的・条件 | 積算の扱い |
|---|---|
| 健全な既設コンクリート構造物の表面を粗にする(目荒らし) | 市場単価 ⑮ |
| コンクリート劣化部除去を目的とする場合 | 特別調査 |
| 配筋部におよぶ作業の場合 | 特別調査 |
| 洗浄,異物除去等を目的とする場合 | 特別調査 |
| コンクリート面に保護塗装等が施されている場合 | 特別調査 |
| 構造物の削孔を目的とする場合 | 特別調査 |
| 構造物の打ち抜き(開口)を目的とする場合 | 特別調査 |
| 鉄筋の切断を目的とする場合 | 特別調査 |
| コンクリート面以外に適用する場合 | 特別調査 |
| 区画線消去を目的とする場合 | 特別調査 |
2行目以下は、日本下水道事業団の積算基準の表1.1「特別調査によるもの」から写しました。静岡県・広島県の基準書にも、同じ9項目が挙がっています。
ウォータージェットではつる作業は、断面修復の前に劣化部を取るなら「コンクリート劣化部除去を目的とする場合」に、鉄筋のある深さまで取るなら「配筋部におよぶ作業の場合」にあたります。同じ機械で同じ面に水を当てていても、目的が劣化部の除去なら、市場単価の対象外です。
標準歩掛の断面修復工(左官工法)は、電動ピックとディスクサンダが前提です
国の土木工事標準歩掛には、断面修復の歩掛として「⑪-2 断面修復工 1. 左官工法」があります。施工フローに「コンクリートはつり」の工程を含み、適用範囲は次のように書かれています。
コンクリート構造物の断面修復における1構造物当りの左官作業に適用する。
(国土交通省「令和7年度 土木工事標準歩掛の改定内容」⑪-2 断面修復工 1-1-1)
対象は左官作業です。はつりに使う器具は、諸雑費の項にあります。
諸雑費は,カッター,はつり及び鉄筋ケレン作業に必要な器具(電動ピック,ディスクサンダ,替え刃,集塵機,ほうき等)……
(同 1-4-6 諸雑費)
挙がっているのは電動ピックとディスクサンダで、超高圧水の設備は歩掛の想定に入っていません。改定資料の断面修復工のページで、ウォータージェットの語は見当たりませんでした。
令和8年度の改定では、伸縮装置工(鋼製)の歩掛に「適用できない範囲」が設けられました。挙げられた6項目の1つが「はつり作業にウォータージェットを用いる場合」です。確かめた2つの歩掛は、どちらもウォータージェットのはつりを歩掛の外に置いています。
市場単価の外の作業は、見積で金額が決まります
「特別調査等別途考慮するもの」は、基準書の単価をそのまま当てず、別に調べて金額を決める作業を指します。島根県の建設工事積算基準は、見方・留意点の中で次のように定めました。
積算にあたっては,基準書の適用範囲と施工条件,構造物の形式,規格等が現場条件に整合しているか十分確認し,整合しない場合は見積り等により現場条件にあった積算とすること。
(島根県「令和7年度 建設工事積算基準」建設工事積算基準の見方・留意点 1.(5)①)
ウォータージェットで劣化部を取る作業は、市場単価⑮の適用範囲にも、標準歩掛の前提にも入りません。金額は、見積り等で現場の条件に合わせて決まります。 見積で金額を左右する条件は、ウォータージェット工事の費用は何で決まるのかに、除去する深さの決め方はコンクリートの中性化と除去深さに書きました。
区画線消去は、区画線工の標準単価で拾います
表1.1に挙がる区画線消去は、⑮とは別に、第Ⅵ編 第1章 土木工事標準単価の「区画線工」に定めがあります。静岡県の基準書は、消去の方式を舗装の種類で分けています。
排水性舗装の上に施工された区画線,道路標示の消去はウォータージェット式とする。
(静岡県 同 ①区画線工 表2.3 区画線消去 注2)
同じ表には、ウォータージェット式の日当たり標準施工量の欄もあります。高視認性区画線工は扱いが違い、消去作業のうちウォータージェット式の場合は、標準単価が適用できない範囲に入ります。方式の使い分けと施工量は、区画線消去はウォータージェット式か削り取り式かで原文を引いています。
積算の前に、特記仕様書で作業の目的を確かめます
市場単価で拾うか、見積で組むかを分けるのは、作業の目的と条件です。積算に入る前に、次の4点を確かめます。
- 作業の目的。 特記仕様書の書き方が「表面処理」「目荒らし」か、「劣化部除去」「はつり」かを読む
- 除去の深さと範囲。 鉄筋のある深さまで取るなら、「配筋部におよぶ作業」にあたる
- 表面の状態。 保護塗装等が施された面は、表面を粗にする処理でも特別調査の扱いになる
- 年度版。 発注者が指定する年度版の基準書で、⑮の適用範囲を確かめる
まとめ
市場単価「コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)」で拾えるのは、健全な既設コンクリートの表面を粗にする処理までです。 劣化部の除去、配筋部におよぶ作業、洗浄や異物除去、保護塗装のある面は、同じ基準で「特別調査」とされています。
標準歩掛の断面修復工(左官工法)は電動ピックとディスクサンダを前提にし、伸縮装置工(鋼製)はウォータージェットを使うはつりを適用の外に置きました。ウォータージェットで劣化部を取る作業の金額は、見積り等で現場の条件に合わせて決まります。
ご相談ください 特記仕様書と図面、作業の目的(表面を粗にするのか、劣化部を取るのか、どこまで取るのか)を見せていただければ、市場単価に当たる作業か、見積で組む作業かを、施工する側の見方で率直にお答えします。 株式会社サンテックは創業から30年以上、超高圧ウォータージェット工法を専業としてきました。
本記事で参照した資料
- 静岡県「土木工事標準積算基準書(第6編 土木工事標準単価及び市場単価)」令和7年10月(①区画線工/②高視認性区画線工/⑮コンクリート表面処理工(ウォータージェット工))
- 広島県「土木工事標準積算基準書(共通編)」令和6年8月(令和7年6月一部改定)(第VI編 第2章 15)コンクリート表面処理工(ウォータージェット工))
- 日本下水道事業団「土木工事 積算基準・標準歩掛」令和5年度(Ⅱ-11-⑭ コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)表1.1)
- 島根県農林水産部・島根県土木部「令和7年度 建設工事積算基準」令和7年10月1日以降適用(適用基準/建設工事積算基準の見方・留意点/第Ⅵ編 第2章 市場単価[1]適用基準)
- 国土交通省「令和7年度 土木工事標準歩掛の改定内容」令和7年2月28日(⑪-2 断面修復工 1. 左官工法)
- 国土交通省「令和8年度 土木工事標準歩掛の改定内容(2/2)」令和8年2月27日(⑬ 伸縮装置工(鋼製)1-2 適用できない範囲)
いずれも原典を開いて確認したうえで記載しています。市場単価の金額は年度・地区で改定されるため、本記事では記載していません。 積算には、発注者が指定する年度版の基準でご確認ください。