この記事の要点
- 損料とは、建設機械の償却費・維持修理費・管理費を、1時間または1日あたりの金額にしたものです。 機械ごとの数値は国の「建設機械等損料算定表」に定められ、2年ごとに改定されます。最新は令和8年度版です。
- コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)の市場単価には、ウォータージェット作業に関わる機械設備一式が含まれています。 市場単価を当てる工事では、超高圧水発生装置の費用は単価の中に入っています。
- 劣化部の除去など、市場単価が適用できない作業は「特別調査等別途考慮するもの」とされています。 積み上げて機械経費を出す場合は、算定表の類似機械を参しゃくするか、賃料を基礎にする規定があります。
建設機械の損料とは、建設業者が保有する機械の償却費・維持修理費・管理費を、運転1時間あたり、または供用1日あたりの金額で表したものです。 公共工事の積算では、機械を使う費用を、この損料と運転経費などに分けて計上します。超高圧水発生装置も機械の1つで、その費用の入り先は、工事の積算方式ごとに違いがあります。この記事では、国の要領と積算基準の原文を開いて確かめた内容を、損料の考え方から順に整理しました。
損料とは:償却費・維持修理費・管理費を、時間と日数で割った金額
国土交通省による建設機械損料の説明は、次のとおりです。
建設機械損料とは、建設業者が所有する建設機械等の償却費、維持修理費、管理費等を指し、これらのライフサイクルコストを1 時間当たり又は1 日当たりの金額で表示した経費のことです。施工に要する標準的な機械経費算出のために設定しています。
(国土交通省「建設施工・建設機械:建設機械等損料」)
3つの費用の中身は、請負工事機械経費積算要領の「用語の意義」で次のように定義されています。
| 費用 | 要領の定義(原文) |
|---|---|
| 償却費 | 機械の使用又は経年による価値の減価額 |
| 維持修理費 | 機械の効用を持続するために必要な整備及び修理の費用で、運転経費以外のもの |
| 管理費 | 機械の保有に伴い必要となる公租公課、保険料、格納保管等の経費 |
損料は、機械を買った費用と持ち続ける費用を、使った分だけ工事に割り当てるための金額です。燃料や運転手の賃金は損料に含まれず、運転経費として別に計上します。
損料は2本立て:運転1時間当たり損料と供用1日当たり損料
要領の第4は、機械損料を運転した時間に掛かる分と、現場に置いた日数に掛かる分の合計で求めると定めています。それぞれの算式は次のとおりです。
(イ) 運転1時間当たり損料=基礎価格×((1/2×償却費率+維持修理費率)/耐用年数)×(1/年間標準運転時間(又は年間標準運転日数)
(ロ) 供用1日当たり損料=基礎価格×〔((1/2×償却費率)/耐用年数)+年間管理費率〕×(1/年間標準供用日数)
(請負工事機械経費積算要領 第4。償却費率は「〇・九」と定められています)
償却費は半分ずつ両方に配り、維持修理費は運転の側に、管理費は供用の側に入ります。動かすほど傷む分は運転時間に、持っているだけで掛かる分は現場にある日数に、という割り振りです。
要領は、日数の数え方も分けています。
- 運転日数:運転時間の多少にかかわらず、機械が運転される日を通算した日数
- 供用日数:機械が工事現場に供用される日数。搬入・搬出に必要な日数を含む
運転時間の測定が難しい機械は運転1日当たりで計算し、運転日数の測定も難しい機械は供用1日当たり損料だけで計算する規定もあります。
国土交通省の施工企画室は、算定表の数値のうち基礎価格・標準使用年数・年間標準の運転時間と供用日数・維持修理費率・年間管理費率を「実態調査の結果により設定」、損料そのものを「計算値」と説明しています。算定表には、両方を1つにまとめた「運転1時間当たり換算値損料」「供用1日当たり換算値損料」の欄もあります。
損料表の改定:2年ごと。令和8年度版は令和6年度版の約1.16倍
建設機械等損料は、令和4年度・6年度・8年度と、2年おきに改定されています。国土交通省が公表した令和8年度版の概要では、全機械の平均で、令和6年度版に対して次の変動になりました。
| 項目(全平均) | 令和8年度版/令和6年度版 |
|---|---|
| 基礎価格 | 1.15 |
| 運転1時間当たり換算値損料 | 1.16 |
| 供用1日当たり換算値損料 | 1.14 |
機械分類別では、「13 建設用ポンプ(原動機を含む)」の基礎価格が1.26、換算値損料が運転・供用とも1.26です。同じ機械でも、どの年度版の損料表を使うかで金額が変わります。 積算に使う年度版は、発注者の指定に合わせてください。
改定後の算定表は、各地方整備局等の機械損料担当課で閲覧できます。
算定表で確かめられたウォータージェット:杭打ち用(14.7MPa)
公開されている範囲で算定表を当たると、ウォータージェットの名が付く機械として「杭打ち用ウォータージェット」が載っています。
| 形式 | 圧力 | 吐出量 |
|---|---|---|
| 電動式 | 0.5~0.9MPa | 1,400 l/min |
| エンジン式・排出ガス対策型 | 14.7MPa | 325 l/min |
出典は福島県「建設機械等損料算定表」令和7年1月20日(公表用)です。令和6/8年度の新旧対照表にも、同じ名称で掲載があります。
杭打ち用は、鋼矢板や杭の打込みを水で補助するための機械です。当社がコンクリートのはつりや表面処理に使う超高圧水発生装置は0〜240MPaで、杭打ち用とは用途も圧力の域も異なります。(関連:ウォータージェットの装置構成)
今回開けたのは、改定のあった項目だけを並べた新旧対照表と、県が自らの積算システムに登録した機械の抜粋です。算定表の全体に超高圧水発生装置が載っているかどうかは、この記事では確かめられていません。 損料の金額も、同じ理由で記載を控えました。使う場合は、発注者が指定する年度版の算定表で確認してください。
算定表に無い機械:類似機械の数値を参しゃく、または賃料を基礎にする
算定表に掲げられていない機械について、要領の第6の定めは次のとおりです。
算定表に掲げる機械以外の機械の損料諸数値(年間管理費率を除く。)は、同表に掲げる同種、同形式又は類似の機械の損料諸数値を参しやくし、適正に定めるものとする。
(請負工事機械経費積算要領 第6)
第12は、機械の賃貸料を基礎として積算する必要があるときは、要領の全部又は一部を適用しないとしています。算定表に該当が無い機械を積み上げで拾う場合、類似機械の損料諸数値を参しゃくするか、賃料を基礎にするかの2つの道が要領にあります。
要領の第5には補正の規定も置かれています。機械の寿命や維持修理費が通常と著しく異なると推定される現場条件では、運転1時間当たり損料を100分の80以上100分の120以下の範囲で補正できます。福島県の算定表は、補正の前提を次のように書いています。
算定表に示す機械損料は,平均的な使用条件下で使用する機械の標準的な経費であって,過酷な使用その他の特殊な施工条件は考慮されていない。
市場単価の工事:装置の費用は単価の中に入っています
コンクリートの表面処理をウォータージェットで行う工事には、市場単価「コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)」があります。日本下水道事業団の積算基準は、単価に含まれる範囲を次のように書いています。
単価には,ウォータージェット作業に関わる機械設備一式を含む。また,清水の調達に関する費用,濁水処理に関する費用を含む。ただし,濁水処理によって発生した沈殿物の処分費については,別途考慮すること。
(日本下水道事業団「土木工事 積算基準・標準歩掛」令和5年度 Ⅱ-11-⑭ 注3)
市場単価は、機・労・材をまとめた施工単位あたりの単価です。市場単価を当てる工事では、超高圧水発生装置の損料を別の行で拾う形にはなっていません。 単価の外に置かれているものは、次のとおりです。
| 市場単価に含まれるもの | 別途計上するもの |
|---|---|
| ウォータージェット作業に関わる機械設備一式 | 仮設工(足場工、防護工) |
| 清水の調達、濁水処理に関する費用 | 濁水処理で発生した沈殿物の処分費 |
| 材料費(清水等) | 交通誘導警備員 |
同じ基準には、施工規模の加算率(300㎡以上500㎡未満で20%、300㎡未満で55%)と、夜間作業(1.10)・上向き施工(1.15)などの補正係数も定められています。市場単価がどの編・章にあり、索引をどう引くかは、別の記事にまとめました。(関連:ウォータージェットはつりの積算・歩掛)
劣化部の除去は、市場単価の適用範囲の外にあります
この市場単価が適用できる範囲は、「ウォータージェットシステムを用いた健全な既設コンクリート構造物の表面を粗にすることを目的とした処理作業」です。適用できない範囲として、同じ基準の表1.1は次の作業を「特別調査によるもの」に挙げています。
- コンクリート劣化部除去を目的とする場合
- コンクリート面に保護塗装等が施されている場合
- 洗浄,異物除去等を目的とする場合
- 配筋部におよぶ作業の場合
- 構造物の削孔を目的とする場合
- コンクリート面以外に適用する場合
- 鉄筋の切断を目的とする場合
- 構造物の打ち抜き(開口)を目的とする場合
- 区画線消去を目的とする場合
断面修復の前に劣化部を取る作業や、鉄筋の裏まで及ぶ作業が、この表の対象です。市場単価が使えない作業では、装置の費用も含めて、別に調べた単価や見積で金額が決まります。 区画線消去のウォータージェット式には、別に標準単価の定めがあります。(関連:区画線消去はウォータージェット式か削り取り式か)
見積で金額が決まる工事では、装置を何日現場に置くかが費用を左右します。日数を動かす条件は、足場・給排水・作業時間帯など現場の段取りにあります。(関連:ウォータージェット工事の費用は何で決まるのか)
損料の外に立つ費用:運転経費・組立解体費・輸送費
要領の第3は、機械経費の構成を次のように定めています。損料は、機械経費の一部です。
| 機械経費の構成 | 中身 |
|---|---|
| 機械損料 | 償却費・維持修理費・管理費 |
| 運転経費 | 燃料費・油脂費及び電力料、運転労務費、消耗部品費、雑品費 |
| 組立解体費 | 機械の組立て・解体に使う機械器具の損料と運転経費、労務者の賃金、雑材料費 |
| 輸送費 | 工事現場への搬入・搬出の運賃と積卸しの費用 |
| 修理施設費 | 大規模工事等で現場に修理施設を設ける場合の費用 |
消耗部品費は、要領で「作業の目的物と直接接触して損耗する部品」のうち、損耗度と操業度の相関が極めて高い部品の費用とされています。超高圧水の設備では、ノズルやホースのように使うほど減る部品がこれに近い位置にあります。どの部品をどの費目で扱うかは、発注者の基準で確認してください。
輸送費は、福島県の算定表の補正の説明で「間接工事費等に計上された機械の輸送費」と書かれています。超高圧水発生装置はトラックに搭載して運ぶため、積算の上では、損料とは別に、運搬の費用が間接工事費等の側に現れることになります。
まとめ
損料は、機械の償却費・維持修理費・管理費を、運転1時間当たりと供用1日当たりに割り振った金額です。 数値は国の建設機械等損料算定表に定められ、2年ごとに改定されます。令和8年度版は、全平均で令和6年度版の約1.16倍(運転1時間当たり換算値損料)になりました。
超高圧水発生装置の費用が積算のどこに入るかは、工事の積算方式で決まります。
- コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)の市場単価を当てる工事では、機械設備一式が単価に含まれています
- 劣化部除去・配筋部におよぶ作業などは市場単価の適用外で、装置の費用も含めて別に調べた単価や見積で決まります
- 積み上げで拾う場合、算定表に該当が無ければ、類似機械の数値を参しゃくするか、賃料を基礎にする規定があります
ご相談ください 設計図書と作業の目的(表面処理か、劣化部の除去か、どこまで取るか)を見せていただければ、その作業が市場単価に当たるのか、見積で組むべきかを、施工する側の見方で率直にお答えします。 株式会社サンテックは創業から30年以上、超高圧ウォータージェット工法を専業としてきました。
本記事で参照した資料
- 国土交通省「建設施工・建設機械:建設機械等損料」(令和8年度 記者発表 令和8年2月27日)
- 国土交通省「令和8年度 建設機械等損料算定表改定の概要」機械分類別平均変動率表(対令和6年度版比較)
- 国土交通省「建設機械等損料算定表 新旧対照表(R06/R08)」(変更項目のみ)
- 請負工事機械経費積算要領(建設省機発第四四号 昭和四九年三月一五日。第2 用語の意義/第3 機械経費の構成/第4〜第6/第12)
- 国土交通省 大臣官房 参事官(イノベーション)グループ 施工企画室「令和6年度 建設機械等損料の改定について」建設マネジメント技術 2024年4月号
- 福島県土木部「建設機械等損料算定表」令和7年1月20日(公表用。6.機械損料の補正/杭打ち用ウォータージェット)
- 日本下水道事業団「土木工事 積算基準・標準歩掛」令和5年度(Ⅱ-11-⑭ コンクリート表面処理工(ウォータージェット工))
いずれも原典を開いて確認したうえで記載しています。損料と市場単価は年度ごとに改定されます。 積算には、発注者が指定する年度版の基準で必ずご確認ください。