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工法解説

区画線消去はウォータージェット式か削り取り式か|積算基準が舗装で使い分けを定めています

2026-08-12 / SANTEC COLUMN

この記事の要点

  1. 区画線の消去方式は、現場で自由に選ぶものではない。複数の自治体の積算基準が、舗装の種類で使い分けを定めている。
  2. 一般的なアスファルト舗装は削り取り式が標準。排水性舗装はウォータージェット式とされている。
  3. 日当たり標準施工量が方式で倍以上違い、さらに小規模施工には別の積算ルールがある。工期と金額の前提が変わる。

区画線や路面標示の消去について調べると、「跡が残りにくい」「路面を傷めない」といった工法の比較は出てきます。

しかし発注する側にとって、もっと手前に押さえるべきことがあります。そもそも、どちらの方式を使うかは積算基準で定められているという点です。この記事では、その規定の原文を引きながら整理します。

舗装の種類で、方式が決まっています

静岡県の土木工事積算基準(令和7年度・第Ⅵ編)の区画線工に、次の注記があります。

路面にしゃがんだ青い雨具の作業員が、ノズルを組み込んだ台車状の道具を押している。手前の路面は消去済みで色が変わっている

(注)1.一般的なアスファルト舗装の上に施工された区画線,道路標示の消去は削取り式を標準とする。   2.排水性舗装の上に施工された区画線,道路標示の消去はウォータージェット式とする。

これは1つの県の独自ルールではありません。 長野県の土木工事標準積算基準書にも、表番号は違うものの同一の文言が記載されています(「削り取り式」「標準作業量」など送り仮名の差はあります)。兵庫県にも同系統の運用規定があります。

つまり、排水性舗装の上の区画線を消すなら、ウォータージェット式が前提ということです。「どちらでもよい」ではありません。

なお、これらが国の基準を各県が転記したものかどうかまでは、原典を確認できていません。「複数の自治体の積算基準で同じ規定になっている」という事実としてお読みください。

日当たり標準施工量が、倍以上違います

同じ積算基準に、標準施工量の表があります(15cm換算)。

規格・仕様 日当たり標準施工量
削取り式 300 m
ウォータージェット式 溶融式 600 m
ウォータージェット式 ペイント式 700 m

方式が変われば、1日に進む延長が2倍以上変わります。 規制計画や他工種との取り合いを組むうえで、ここは前提として押さえておく必要があります。

「ウォータージェットのほうが速い」と単純に読むのは正確ではありません。そもそも適用される舗装が違うためです。同じ現場で両方を比べる場面は、基準上あまり生じません。

小規模な消去には、別の積算ルールがあります

もうひとつ、発注側で見落とされやすい規定です。

3)区画線消去(ウォータージェット式)で,施工規模が日当たり標準施工量に満たない場合は,実施工量にかかわらず,日当たり標準施工量を実施した場合の金額を計上する。

延長が短くても、1日分として計上されるという規定です。

区画変更で数十メートルだけ消したい、というケースでも、この前提で見ておく必要があります。逆に言えば、近接する複数箇所の消去をまとめられるなら、まとめたほうが積算上は効率的になります。分けて発注すると、そのたびに1日分が立ちます。

これは工法の優劣ではなく、発注の組み方の話です。

なぜ排水性舗装ではウォータージェット式なのか

正直に申し上げます。積算基準は使い分けを定めているだけで、理由までは書かれていません。

排水性舗装は、表層に空隙を持たせて雨水を路面下へ抜く構造です。この空隙が機能することで、雨天時の水はねやハイドロプレーニングを抑えています。削り取る方式との相性が論点になるのは、この構造があるためだと考えられます——ただしこれは基準に書かれていることではないので、推測としてお読みください。

発注の判断としては、理由を詰めるより、基準に従うのが確実です。基準が方式を指定している以上、そこから外れた積算は説明が難しくなります。

消去そのものの品質について

方式が決まっていても、仕上がりに差が出る部分はあります。

消去でよく問題になるのが、消した跡がうっすら残る「ゴーストライン」です。夜間や雨天時にこの跡が光って見えると、本来の標示と紛らわしく、安全上の問題になりかねません。

ウォータージェットは圧力と水量を調整して施工するため、路面への影響を抑えながら標示を除去することが可能です。ただし路面の状態や標示の種類(溶融式かペイント式か、施工からの経過年数)によって結果は変わります。「必ずきれいに消える」とは申し上げません。

また道路上の作業になるため、交通規制の時間内に収める段取りと、発生する濁水の処理が実務上の課題になります。(関連:排水・濁水の処理)

今日、5分で確認できること

  1. 対象の舗装が排水性舗装かどうかを確認する。 設計図書か、過去の舗装工事の記録で分かります。ここが決まれば方式は自動的に決まります
  2. 消去する延長を合計し、日当たり標準施工量(溶融600m/ペイント700m)に対してどうかを見る。 満たない場合は1日分として計上される前提で積算を組みます
  3. 近接する箇所をまとめられないか検討する。 分けて発注すると、そのたびに1日分が立ちます

1と2が分かれば、積算の前提はほぼ固まります。

まとめ

区画線消去でウォータージェット式が使われるのは、工法が優れているからというより、積算基準が舗装の種類で使い分けを定めているからです。排水性舗装であれば、ウォータージェット式が前提になります。

そのうえで押さえておきたいのが、日当たり標準施工量が方式で2倍以上違うことと、小規模施工には1日分を計上する規定があることの2つです。どちらも工期と金額の前提に直結します。

ご相談ください 「この区間は排水性舗装だが、どう積算すればよいか」という段階からで構いません。図面と規制条件をうかがったうえで、まとめて施工したほうがよい範囲があればそのようにお伝えします。 株式会社サンテックは1993年の設立以来、超高圧ウォータージェット工法だけを手がけ、年平均92物件・累計1,500件以上の現場を重ねてきました。

よくある質問

区画線の消去は、削り取り式とウォータージェット式のどちらを選ぶのですか?
舗装の種類で決まります。複数の自治体の積算基準が「一般的なアスファルト舗装は削り取り式を標準とする」「排水性舗装はウォータージェット式とする」と定めています。現場で自由に選ぶものではありません。
日当たりの施工量はどれくらい違いますか?
積算基準の標準施工量では、15cm換算で削り取り式が300m/日、ウォータージェット式は溶融式600m/日・ペイント式700m/日とされています。方式によって工程の前提が変わります。
消去する延長が短い場合はどう積算されますか?
ウォータージェット式では、施工規模が日当たり標準施工量に満たない場合、実施工量にかかわらず日当たり標準施工量を実施した場合の金額を計上する、と定められています。短い延長でもこの前提で見ておく必要があります。
なぜ排水性舗装ではウォータージェット式なのですか?
積算基準は使い分けを定めているだけで、理由までは書かれていません。ただし排水性舗装は表層に空隙を持たせて水を抜く構造であり、削り取る方式との相性が論点になります。判断は基準に従うのが確実です。

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