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工法解説

コンクリートのジャンカ(豆板)の補修方法 ― 悪い部分をどこまで取り、何で埋め、誰の承諾を受けるか

2026-11-02 / SANTEC COLUMN

この記事の要点

  1. ジャンカ(豆板)の補修は、悪い部分を健全部が確認できるまで取り、断面修復材で埋めます。 国の仕様書は、型枠(せき板)の取外し後に確認して報告し、設計図書に適合しなければ措置と補修方法の承諾を受け、補修後に検査を受けることを求めています。
  2. 民間の工事では、設計図書と特記仕様書が定める仕様書に従い、取る範囲と補修方法は承諾を出す側と決めます。 ジャンカの程度を区分する表と、はつり深さの数値は、開いた国の仕様書にありません。範囲・奥行き・鉄筋との位置・叩いた状態の記録が、承諾の材料になります。
  3. 取りすぎには歯止めがあります。 取ったあとの面の確認と、はつった状態で躯体の耐力が保てるかの確認が、それぞれ要ります。

コンクリートのジャンカとは、打込みのときに粗骨材(砂利)が集まり、空隙の多い不良部分ができた状態のことです。 仕様書の呼び名は「豆板」で、土木研究所の資料は、材料の分離、締固め不足、型枠下端からのセメントペーストの漏れなどが原因で生じる現象と定義しています。多くは型枠を外して初めて見つかり、その時点で、どこまで取るか、どう埋めるか、誰の承諾が要るかを決めます。国の工事では国の仕様書の流れに従い、民間の工事では設計図書と特記仕様書が定める仕様書に従います。どちらも、取る範囲と補修方法は、現場の記録を材料に、承諾を出す側と決めます。

型枠を外したら確認して報告し、設計図書に適合しなければ承諾を受けます

国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版は、確認の時期を 6.6.7「打込み後の確認等」で次のように定めています。

(ア) 豆板、空洞、コールドジョイント等の有無の確認は、せき板の取外し後に行う。

(公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 6.6.7(1))

同じ確認で見つかるコールドジョイントの補修は、コールドジョイントの補修にまとめました。欠陥を認めた場合は、6.9.6「構造体コンクリートの仕上りの確認」に進みます。

(2) 部材の位置、断面寸法、表面の仕上り状態、仕上りの平たんさ、打込み欠陥部及びひび割れについて確認を行い、監督職員に報告する。

(3) (2)の確認結果が、設計図書に適合しない場合は、必要な措置を定め、監督職員の承諾を受ける。また、承諾を受けた方法により補修を行い、補修後直ちに監督職員の検査を受ける。

(同 6.9.6)

順 やること 仕様書の条項
1 せき板の取外し後に、豆板・空洞の有無を確認する 6.6.7(1)
2 打込み欠陥部を確認し、監督職員に報告する 6.9.6(2)
3 設計図書に適合しなければ、必要な措置を定めて承諾を受ける 6.9.6(3)
4 承諾を受けた方法で補修し、補修後に検査を受ける 6.9.6(3)

この仕様書は、国の官庁施設の営繕工事に使うものです。民間の工事で、どの仕様書を使うかは、設計図書と特記仕様書で先に確かめます。土木のダム編には、豆板の処置方法をあらかじめ定めて施工計画書に記載する、という規定があります(土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 9-1-5-4)。

ジャンカの程度を区分する表と、はつり深さの数値は、令和7年版の仕様書に見つかりませんでした

令和7年版の本文で「豆板」が出てくるのは、上の 6.6.7 と、左官工事の下地 (15.2.3) の2か所だけです。左官の下地については「ひび割れ、欠け、豆板、過度の凹凸等がないか、又は、適切に補修されている状態とする」と書かれています。どの程度なら何で直す、という対応表は、この仕様書にありません。

「ジャンカ 補修 レベル」で検索すると、5段階や3段階に分けた解説が出てきます。区分の数も、分ける基準も、資料ごとに違います。国の資料で同じ区分を確認できなかったため、この記事では区分の表を作りません。仕様書が求めているのは「必要な措置を定めて承諾を受ける」ことで、措置の中身は工事ごとに決める扱いです。

承諾を受ける材料として、範囲・奥行き・鉄筋との位置・叩いた状態を記録します

区分が無い以上、承諾を受けるための材料は、現場で自分たちが記録します。対象は次の3つで、右の列に、対応する資料の記述を並べました。

記録すること 決まること 根拠になる資料の記述
範囲と奥行き 取る量、はつりの方法、断面修復の工法 土木研究所資料:はつり方法は「構造物の種類,施工部位,施工規模」で選定 (2.3(1))、断面修復の施工方法は「構造物の状態,施工箇所,施工規模」で選定 (2.3(2))
鉄筋との位置 鉄筋の裏まで取るか、鉄筋の処理が要るか 同 3.2 解説(1)・3.3(1)
叩いた状態 ゆるんでいる部分が残っていないか 同 3.2 解説(3):目視、または打音ハンマー等で確認する

補修の基本は、悪い部分を取り除いて、断面修復材で埋めることです

土木研究所資料 第4433号「コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル」2022年版は、劣化した構造物の補修を主に扱う資料です。豆板は、同書の解説 表-2.1.1 で「本マニュアルによる対策が準用できると考えられる劣化機構」に挙げられています。断面修復工法の施工手順 (3.1) は次の工程です。

工程 内容
既存コンクリートのはつり 劣化部・ゆるみ部を取り除く
鉄筋の処理 「鉄筋(鋼材)の損傷が著しい場合は,交換,増設等を行う」(3.3(1))
下地コンクリートの改善処理・付着面の処理 付着性を確保する
断面修復材の管理・施工 左官・吹付け・充填のいずれか
養生 季節に応じて養生日数を設定する

豆板に絞った手順は、土木学会論文集の中に書かれています。通常の補修は、豆板を取り除き、断面欠損した部分に断面修復材(ポリマーセメントモルタル等)を用いて断面修復する方法で、手順は次のとおりです。

  1. 豆板背後の健全部が確認できるまで、コンクリートブレーカー等で豆板を完全に取り除く
  2. 取り除いた後の健全部の表面にプライマー(接着剤)を塗布する
  3. 型枠を組み、ポリマーセメントモルタル等の断面修復材を充填する
  4. 硬化後に型枠を外す

断面修復工法の種類の選び方は、断面修復工法の種類と選び方に整理しています。

脆弱部は、健全部が確認できるまで取り、取った面を確かめます

「どこまで取るか」の数値は、仕様書にありません。上の論文の手順は、「豆板背後の健全部が確認できるまで」を終点にしています。土木研究所資料は、取ったあとの面について次のとおりです。

はつり作業後に,ひび割れや浮き,ゆるみ,フェザーエッジがある場合には,それを取り除かなければならない。

(土木研究所資料 第4433号 3.2(3))

確認は、解説によると目視か打音ハンマー等で行います。フェザーエッジとは、はつり面の端の角度が緩やかなスロープ状になった形です。はつり面が構造物の表面に出る部分で端がフェザーエッジになると、修復材が極端に薄くなり、ひび割れが生じやすいため、同書は、フェザーエッジにならないはつり形状を求めます。

鉄筋の裏については、同書の解説 (3.2(1)) に「鉄筋が腐食している場合には鉄筋裏まではつる必要がある」とあります。この文は腐食を条件にしています。ジャンカでは、鉄筋の裏側まで空隙が回っているかが、同じ位置の論点だと考えられます。裏まで空隙が続く場合は、健全部を確認するために鉄筋の裏まで取る、という判断が出てきます(ここは資料の文ではなく、この記事の読み方です)。裏側への充填は、吹付けでも「鉄筋裏側等に空隙が生じないような施工を行う必要がある」と同書が注意しています。はつり深さの考え方は、断面修復のはつり深さにも書きました。

取りすぎにも限りがあります。はつった状態で、躯体の耐力が保てるかを確かめます

断面修復工法では、取る量に次の歯止めがあります(土木研究所資料)。

また,はつりを行った状態で,構造体としての耐力が確保されることを事前に確認しなければならない。

(土木研究所資料 第4433号 Ⅰ編 2.4 補修方針の設定と補修工法の選定 4)断面修復工法)

安全衛生の解説 (3.14) にも、はつり範囲を誤ると部材や構造物の崩壊を招く恐れがある、と書かれています。柱や梁の主筋まわりで広く深いジャンカが出た場合は、取る範囲を決める段階で、この確認を誰がどう行うかを監理者と先に決めておく点です。仕様書の流れでは、この確認は「必要な措置を定め、監督職員の承諾を受ける」で扱う内容に含めて考えます。

はつりは打撃でも超高圧水でも行えます。小さく浅いジャンカは打撃で足ります

土木研究所資料は、はつりの方法を人力(チッピングハンマー等)と機械(ブレーカ、ウォータージェット)に分けた上で、打撃系に次の注意を置いています。

打撃による衝撃で既存コンクリートに微細なひび割れが生じることによって付着性能が低下する場合があるため注意が必要である。

(土木研究所資料 第4433号 3.2 解説(2))

ウォータージェットの扱いは、同書の 2.3 解説(1) に次の記述があります。

ダメージが少ない方法として機械はつりのウォータージェット工法があり,ウォータージェットによる方法を標準としている発注機関もある。しかしながら,ウォータージェット工法はブレーカ処理等に比較して一般に装置が大がかりで費用もかかることから,全ての断面修復工事に最良とは言い難い面もある。

(土木研究所資料 第4433号 2.3 解説(1))

当社の見方も同じです。面積が小さく浅いジャンカは、打撃のはつりと断面修復材で足ります。超高圧水の設備一式を持ち込む費用と段取りに、見合いません。

ウォータージェットが候補になるのは、鉄筋が密で打撃の工具を当てにくい所、鉄筋や周りの躯体を傷めたくない所、取ったあとの面に後から打つコンクリートを付着させたい所です。当社の新築建物是正のページは、ジャンカを「打設時にバイブレータで空気を抜ききれなかったために、コンクリートが密実にならずボロボロになってしまった箇所」と説明し、強度が出ないため脆弱部を除去してから補修するとしています。あわせて、超高圧水なら微細なひび割れを発生させずに、もろい部分や不純物だけを取り除ける、というのが当社の説明です。福岡県内の生コン打設初期不良部の除去では、ハンド回転ガン(NLB 社製)で、余剰コンクリートや不適合箇所だけを除去しました(施工事例/新築建物是正)。

水を使うため、給水と排水の処理は必ず要ります。打撃のはつりとの違いはウォータージェットはつりとは、近隣対策は無振動ではつる方法に書いています。

着工前に、監理者と決めておく5つのこと

仕様書の流れ(報告→措置を定める→承諾→補修→検査)に沿って次の5つを書面にしておけば、取ったあとに「想定と違う」となっても、判断しやすくなります。

  1. ジャンカの記録。 位置、範囲、奥行き、鉄筋との位置、叩いた状態を、写真と寸法で残す
  2. 取る範囲の終点。 「健全部が確認できるまで」を、誰が、どの方法(目視・打音)で確認するか
  3. 構造の確認。 はつった状態で耐力が保てるか。保てない場合の対応
  4. 補修の方法。 断面修復の工法、プライマー、断面修復材の仕様(承諾を受けるのは、この「方法」)
  5. 取ったあとの検査。 ゆるみ・ひび割れ・フェザーエッジの有無の確認と、補修後の検査の時期

左官などの仕上げが続く場合、15.2.3 は、下地が「適切に補修されている状態」であることを求めています。

取り除かずに樹脂を注入して補修する方法も、研究されています

土木学会論文集E2 70巻2号(2014)は、豆板を取り除くと健全部と補修部の間に補修境界面ができ、そこが剥離などの要因になりうる、という指摘です。曲げ試験では、通常の補修(はつり+断面修復材)の試験体は境界面で破壊し、曲げ強度は健全な試験体の半分以下でした。

論文は、豆板を取り除かず、直径10mm程度の孔を削ってエポキシ樹脂を注入する方法を提案しています。注入した試験体は、圧縮・引張・曲げ強度が健全な試験体と同等以上に回復しました。未充填部の割合を「コンクリート未充填率」と定義し、未充填率が増えるにつれて強度が「ほぼ一定の割合で」低下したことも報告しています。どれも試験体での結果で、実際の構造物でどの方法を採るかは、定めた措置への承諾で決まる、という扱いです。

まとめ

ジャンカは、型枠を外した時点で確認して報告し、設計図書に適合しなければ、措置と補修方法の承諾を受けてから補修します。 範囲・奥行き・鉄筋との位置・叩いた状態の記録が、承諾の材料です。程度の区分と、はつり深さの数値は、開いた国の仕様書にありません。

補修は、健全部が確認できるまで取り、取った面の確認をして、断面修復材で埋める流れです。取りすぎには、はつった状態での耐力の確認が歯止めになります。

ご相談ください 深いジャンカ、鉄筋が密な所のジャンカ、広い範囲のジャンカは、はつる前に一度ご相談ください。写真、範囲と奥行きの記録、配筋の分かる図面があれば、ウォータージェットで取る場合と打撃のはつりの場合で、何が変わるかをお伝えします。浅く狭い所は、打撃のはつりと断面修復材で足りることが多いです。

日数はウォータージェット工事の工期、費用が何で決まるかはウォータージェット工事の費用にまとめました。サンテックの新築建物是正は、75件・10都府県(福岡34・長崎14・沖縄9 ほか)の施工実績があり、マンション・病院・庁舎・大学などの現場でした。


本記事で参照した資料

仕様書は改定が続いています。 工事の計画には、発注時点の版と特記仕様書で必ずご確認ください。

よくある質問

ジャンカの補修には、誰の承諾が要りますか?
監督職員の承諾が要ります。国の仕様書では、確認して報告し、設計図書に適合しなければ措置を定めて承諾を受け、補修後に検査を受けます。民間の工事は、設計図書が定める仕様書に従います。
ジャンカの程度を区分する基準は、仕様書にありますか?
令和7年版にはありません。豆板が出るのは確認の規定と左官の下地の2か所だけです。範囲・奥行き・鉄筋との位置・叩いた状態を記録し、それを材料に補修方法の承諾を受けます。
ジャンカは、どこまで取ってから埋めますか?
健全部が確認できるまで取ります。取ったあとは、ひび割れ・浮き・ゆるみ・フェザーエッジを取り除き、目視か打音ハンマー等で確認します。鉄筋の裏まで空隙が続く場合は、裏まで取る判断が出てきます。
ジャンカの補修に、モルタルを使ってよいですか?
ポリマーセメントモルタル等の断面修復材で埋める方法が、土木学会論文集に通常の補修として書かれています。豆板を取り除いてから埋めます。使う材料は、承諾を受ける補修方法の中で決めます。
ジャンカの補修に、ウォータージェットは使えますか?
使えます。ただし、面積が小さく浅いジャンカは、打撃のはつりと断面修復材で足ります。鉄筋が密な所や周りの躯体を傷めたくない所が候補で、給水と排水の処理が要ります。

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