この記事の要点
- 単価の単位は、はつる形で決まります。 国と県の積算基準では、構造物を壊す量は㎥、表面を削るはつりは㎡、建具の周りや溝はm、配管の貫通口はか所で数えます。
- 建築の基準と断面修復工の歩掛は、中身が人工で組まれています。 歩掛に書かれた1単位あたりの作業員の数に、所定労働時間内8時間当たりの公共工事設計労務単価を掛けて、労務費を出します。
- ウォータージェットには、㎡の市場単価があります。 対象は健全なコンクリートの表面を粗にする処理です。劣化部の除去は市場単価の対象外で、特別調査等として別途考慮されます。
はつりの単価とは、コンクリートを削り取る・壊す作業の、1単位あたりの価格のことです。 公共工事の積算では、その「1単位」を作業の形ごとに決めています。同じコンクリートでも、壊して撤去するのか、表面を一定の厚さで削るのか、壁に穴をあけるのかで、項目も単位も変わります。金額は年度と地区で改定されるため、この記事では金額を載せず、国と県が公開している積算基準の原文を開いて、単位と適用範囲を確かめました。
単位は作業の形で決まる:㎥・㎡・m・か所
土木と建築の積算基準から、はつりに関わる項目を単位ごとに抜き出すと、次の表のとおりです。
| 単位 | 当たる作業 | 基準の項目(例) |
|---|---|---|
| ㎥ | 構造物を壊して撤去する | 構造物とりこわし工(土木)/コンクリート撤去(建築) |
| ㎡ | 表面を一定の厚さで削る | コンクリートはつり(土木・建築)/床タイル撤去・壁タイル撤去・目あらし(建築) |
| m | 線に沿って削る | 建具周囲はつり/溝はつり(建築) |
| か所 | 壁や床に穴をあける | 手はつり(配管貫通口・ダクト貫通口)(建築の設備工事) |
| 1構造物/0.1㎥ | 断面修復の左官と一体で削る | 断面修復工(左官工法)(土木) |
| ㎡(市場単価) | ウォータージェットで表面を粗にする | コンクリート表面処理工(ウォータージェット工) |
どの項目に当たるかで、数量の拾い方から変わります。
壊す量は㎥:構造物とりこわし・コンクリート撤去
土木の「構造物とりこわし工」は、河川・海岸・砂防・道路工事などの既設コンクリート構造物を壊す作業の標準単価です。静岡県の土木工事標準積算基準書(令和8年4月の変更箇所)は、規格を次の4つに分けています。
| 区分 | 施工方法 | 単位 | 日当たり標準施工量 |
|---|---|---|---|
| 無筋構造物 | 機械施工(大型ブレーカまたは、コンクリート圧砕機) | ㎥ | 19 m3/日 |
| 無筋構造物 | 人力施工(コンクリートブレーカ) | ㎥ | 5.5 m3/日 |
| 鉄筋構造物 | 機械施工(大型ブレーカまたは、コンクリート圧砕機) | ㎥ | 11 m3/日 |
| 鉄筋構造物 | 人力施工(コンクリートブレーカ) | ㎥ | 4 m3/日 |
人力施工を選ぶのは、重機が使えない狭い場所や、部分的に壊す必要がある場合です。同じ鉄筋構造物でも、人力施工の日当たり標準施工量は機械施工の半分以下になります。
数量の数え方も、基準に書かれています。
構造物とりこわしの施工量については,構造物のとりこわし前の体積とする。
(静岡県「(R8.4変更箇所)【積算基準書】市場単価・標準単価」第Ⅵ編 第1章 ④構造物とりこわし工)
低騒音・低振動対策として圧砕機を使う工事には、単価を補正する係数もあります。とりこわしに伴う「コンクリートはつり(平均はつり厚6cm以下)」は、この標準単価から外し、次に見る㎡の項目で別に積算します。
建築の改修工事では、国土交通省の「公共建築工事標準単価積算基準」が「コンクリート撤去」を1㎥当たりで定めています。表は鉄筋切断共と無筋に分かれ、それぞれに「人力」と「コンクリートブレーカ」の列があります。適用条件には「コンクリート撤去は、コンクリートブレーカを標準とし、少量の場合は人力を考慮する。」と書かれています。
「人力」という語の指すものは、土木と建築で異なります。土木の標準単価で人力施工と書かれた欄は、コンクリートブレーカを使う施工のことです。建築の表は人力とコンクリートブレーカを別の列に分け、ブレーカの損料をコンクリートブレーカの列にだけ入れています。
表面を削るはつりは㎡:土木は平均はつり厚6cmまで、建築は厚30㎜
土木で表面を削るはつりには、施工パッケージ「コンクリートはつり」を使います。国土交通省の「令和8年度 施工パッケージ型積算方式標準単価表」では、積算単位はm2、条件は平均はつり厚の2区分(3cm以下/3cmを超え6cm以下)に分かれています。
何が含まれ、どこまで使えるかは、静岡県の基準書(第Ⅱ編 共通工)で確かめられます。
- 含むもの:表面部のはつり作業、破砕片の除去、コンクリートブレーカの賃料、チゼルの損耗費など
- 含まないもの:コンクリート殻の運搬車への積込みと運搬(積込みは別の項目で、単位は㎥)
- 適用できない場合:平均はつり厚が6cmを超える場合/上方・水平方向に対するはつり作業の場合/橋梁補修工・道路維持修繕工等で標準歩掛が設定されている工種の場合 など
床や上面を下向きに削る、厚さ6cmまでのはつりが、この項目の範囲です。壁や天井を削る作業は、この単価の外に置かれています。
建築の改修工事では、同じ㎡の項目がいくつも並びます。どれも、ピックハンマで打撃して削る打撃式のはつり(ピックはつり)を前提にした歩掛。はつり工の所要量を抜き出しました。
| 項目(1㎡当たり) | 区分 | はつり工 |
|---|---|---|
| コンクリートはつり | 床 厚30㎜ | 0.125人 |
| コンクリートはつり | 壁 厚30㎜ | 0.135人 |
| 床タイル撤去 | 下地モルタル共 | 0.1人 |
| 壁タイル撤去 | 下地モルタル共 | 0.1人 |
| 床モルタル・床人研ぎ撤去 | ― | 0.08人 |
| 目あらし | コンクリート面 床/壁 | 0.04人/0.05人 |
床(土間)のコンクリートを厚さ30㎜ほど削るなら「コンクリートはつり」、床を壊して撤去するなら「コンクリート撤去」の㎥です。タイルの撤去は、下地モルタルを含めて㎡で拾います。
建具周りと溝はm、貫通口はか所:建築の改修と設備工事
公共建築工事標準単価積算基準には、長さと箇所で数えるはつりもあります。
- 建具周囲はつり(1m当たり):RC 15cm/RC 20cm の2区分。はつり工とコンクリートブレーカ30kgの歩掛です
- 手はつり(配管貫通口)(か所):貫通口径(75mm〜500mm)と、コンクリート厚さ(120~150mm、200mm程度、300mm程度、400mm程度)の組合せで決まります
- 手はつり(ダクト貫通口)(か所):貫通面積0.1㎡〜0.9㎡と、コンクリート厚さの組合せで決まります
- 手はつり(溝はつり)(m):溝の幅×深さ 30×30mm〜100×100mm。同じ表の面はつり(30mm程度)は㎡です
- 機械はつり(ダイヤモンドカッターによる配管用貫通口)(か所)
貫通口の手はつりは、機械設備工事の改修に置かれた項目で、電気設備工事の改修もこの歩掛りによると定められています。適用条件は次の2つです。
ロ.本項目のはつり工事は、特記のある場合に適用する。
ハ.本項目のはつり工事は、鉄筋切断、搬出に要する費用及び補修費を含むものとする。
(国土交通省「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」第4編 第2章 第1節 3 はつり工事)
無筋コンクリートの場合は手はつりの歩掛りを80%、コンクリートブロックの場合は50%とする注記もあります。
貫通口や建具周りのように、小さく点在するはつりは、手はつりやダイヤモンドカッターの項目で組まれています。ウォータージェットは装置の運搬と据付が量に比例しないため、こうした小さな量ほど、単位あたりの金額が上がる工法です。
断面修復のはつりは左官と一体:1構造物、または0.1㎥当り
劣化部をはつって左官で埋め戻す断面修復では、はつりと左官を1つの歩掛で拾います。国土交通省の土木工事標準歩掛「断面修復工(左官工法)」は、コンクリートはつり(カッター工含む)から鉄筋ケレン・鉄筋防錆処理、左官、仕上げまでを1つの歩掛にまとめています。
| 1構造物当りの修復延べ体積 | 歩掛の単位 |
|---|---|
| 0.1㎥以下 | 1構造物当り |
| 0.1㎥を超える | 0.1㎥当り |
ここでいう1構造物は「1橋梁や1樋門等の全体」を指し、構造物の規模や上部・下部で区分しない定めです。面積ではなく体積で拾うので、同じ面積でも深く取るほど数量が増えます。(関連:断面修復のはつり深さ)
はつりに使う器具は、諸雑費に入る定めです。
諸雑費は,カッター,はつり及び鉄筋ケレン作業に必要な器具(電動ピック,ディスクサンダ,替え刃,集塵機,ほうき等)
(国土交通省「土木工事標準歩掛の一部見直し」令和8年度 ⑪-2 断面修復工 1-4-6 諸雑費)
この歩掛は「全ての施工方向に適用出来る。」とされ、上向きや横向きのはつりにも使えます。水中部、道路トンネル、高所作業車などの移動足場を使う施工は、適用範囲の外に置かれています。
人工は歩掛の中身:「人」に8時間当たりの労務単価を掛けます
ここまでの単位は、どれも外側の数え方にあたります。歩掛で組む項目の中身は、1単位あたりに何人の作業員が要るかで組まれています。国土交通省による土木工事標準歩掛の説明は、次のとおりです。
積算基準を構成する土木工事標準歩掛は、全国での施工実態調査に基づき、施工に要する標準的な労務、材料、機械等の所要量を設定しています。
(国土交通省「建設施工・建設機械:土木工事標準歩掛」)
公共建築工事標準単価積算基準の総則は、単価の組み立て方を次のように定めています。
- 複合単価は、所要量から構成される歩掛りに、単価等を乗じて算定する
- 労務単価は、「公共工事設計労務単価」による
- 労務の所要量は、平均的能力の作業員による標準作業量とする
歩掛の表で「人」の単位で書かれた数量が、人工にあたります。公共工事設計労務単価は「所定労働時間内8時間当たりの単価」とされています。建築のコンクリートはつり(床 厚30㎜)ははつり工0.125人/㎡なので、歩掛の上では、はつり工1人の8時間で8㎡を削る計算になります。土木の断面修復工(鉄筋ケレン・防錆処理を含む)は、0.1㎥当りで土木一般世話役2.8人・特殊作業員5.3人・普通作業員2.8人です。
当てる職種は、土木と建築で分かれています。
| 職種 | 定義・作業内容(抜粋) | 使われている歩掛の例 |
|---|---|---|
| はつり工 | はつり作業について相当程度の技能を有し、主として次に掲げる作業について主体的業務を行うもの(建築物を対象とするものに限る) a. コンクリート、石れんが、タイル等の建築物壁面のはつり取り(はつり仕上げを除く) b. 建築物の床または壁の穴あけ |
建築のコンクリートはつり・タイル撤去・建具周囲はつり・手はつり |
| 特殊作業員 | ホ.ピックブレーカ等を運転または操作して行うコンクリート、舗装等のとりこわし(ほかの作業も含む定義の一部) | 土木のコンクリートはつり・断面修復工/建築のコンクリート撤去 |
公共工事設計労務単価は、職種ごと・都道府県ごとの単価です。同じ1人工でも、職種と県で単価が変わります。
ウォータージェットは㎡の市場単価:対象は健全な表面を粗にする処理
ウォータージェットは、水圧でコンクリートを除去する工法です。積算基準では、打撃式のはつりとは別に、市場単価「コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)」が置かれ、単位は㎡となっています。適用できる範囲の原文を引きます。
ウォータージェットシステムを用いた健全な既設コンクリート構造物の表面を粗にすることを目的とした処理作業。
(静岡県「土木工事標準積算基準書(第6編 土木工事標準単価及び市場単価)」令和7年10月 ⑮コンクリート表面処理工(ウォータージェット工))
同じ基準の表1.1は、「コンクリート劣化部除去を目的とする場合」「配筋部におよぶ作業の場合」などを「特別調査によるもの」に挙げています。劣化部を水圧で除去するはつりは、この市場単価の外にあり、別に調べた単価や見積で金額が決まります。
市場単価の掲載位置と索引の引き方はウォータージェットはつりの積算・歩掛に、単価に含まれる装置の費用は超高圧水発生装置の損料にまとめています。
表の外に置かれるはつり:厚さ6cm超・上向き・劣化部除去
ここまでの項目には、どれも適用できない範囲の定めがあります。はつりで外れやすい場合を、原文から抜き出しました。
| 項目 | 適用できない範囲(原文から抜粋) |
|---|---|
| コンクリートはつり(土木・㎡) | 平均はつり厚が6cmを超える場合/上方,水平方向に対するはつり作業の場合 |
| 構造物とりこわし工(土木・㎥) | 施工基面(機械設置基面)より上下5mを超える作業能力を有する機種を用いる場合/コア抜きして内部を広げて破砕する場合(特別調査等別途考慮するもの) |
| コンクリート表面処理工(ウォータージェット工)(㎡) | コンクリート劣化部除去を目的とする場合/配筋部におよぶ作業の場合 など(特別調査によるもの) |
建築の撤去とはつり工事の節には、どちらも「本節の定めによりがたい場合の単価及び価格の算定については、「第1編 総則」に基づき適切に算定する。」とあります。総則は、ほかの単価に当てはまらないものを「物価資料の掲載価格又は製造業者・専門工事業者の見積価格等を参考として定める」としています。
表の外の作業は、別の項目に当てるか、特別調査や見積で金額を決める扱いです。見積で決まる作業は、各社に伝える前提をそろえると、金額を比べやすくなります。(関連:ウォータージェット工事の費用は何で決まるのか/ウォータージェットの相見積もり)
図面の段階で確かめておきたいのは、次の4点です。
- はつる形:壊して撤去するのか、表面を削るのか、線か、穴か
- 厚さと向き:平均はつり厚が6cmを超えるか、下向きか、壁・天井か
- 目的:断面修復の一部か、表面を粗にする処理か、劣化部の除去か
- 基準:土木の基準か建築の基準か、発注者が指定する年度版はどれか
まとめ
はつりの単価は、はつる形で単位が決まります。 国と県の積算基準では、壊す量は㎥、表面を削るはつりは㎡、建具の周りや溝はm、貫通口はか所が単位です。断面修復のはつりは左官と一体で、1構造物または0.1㎥当りで拾います。建築の基準と断面修復工の歩掛は、人工に労務単価を掛けて組まれています。
ウォータージェットには㎡の市場単価がありますが、対象は健全な表面を粗にする処理です。劣化部の除去や、平均はつり厚6cmを超えるはつりのように基準の表から外れる作業は、別の項目に当てるか、特別調査や見積で金額を決めます。
ご相談ください 図面と、はつる目的・厚さ・範囲を見せていただければ、その作業がどの項目と単位で拾えるのか、見積で組む作業なのかを、施工する側の見方で率直にお答えします。 打撃式のはつりのほうが合う量や場所なら、答えは打撃式のはつりです。株式会社サンテックは創業から30年以上、超高圧ウォータージェット工法を専業としてきました。
本記事で参照した資料
- 国土交通省「令和8年度 施工パッケージ型積算方式標準単価表」国技建管第16号 令和8年3月18日(No.112 コンクリートはつり/No.113 積込(コンクリート殻))
- 静岡県「土木工事標準積算基準書(第2編 共通工)」令和7年10月(⑭構造物とりこわし工 コンクリートはつり)
- 静岡県「(R8.4変更箇所)【積算基準書】市場単価・標準単価」令和8年4月前倒し改定(第Ⅵ編 第1章 ④構造物とりこわし工)
- 静岡県「土木工事標準積算基準書(第6編 土木工事標準単価及び市場単価)」令和7年10月(⑮コンクリート表面処理工(ウォータージェット工) 表1.1)
- 国土交通省「土木工事標準歩掛の一部見直し」令和8年度(令和8年2月27日 記者発表。⑪-2 断面修復工 1.左官工法)
- 国土交通省「建設施工・建設機械:土木工事標準歩掛」
- 国土交通省大臣官房官庁営繕部「公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)」最終改定 令和8年3月11日国営積第15号(第1編 総則/第2編 第2章 第2節 撤去/第4編 第2章 第1節 3 はつり工事)
- 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」令和8年2月17日(調査対象職種の定義・作業内容 01 特殊作業員/37 はつり工)
いずれも原典を開いて確認したうえで記載しています。単価の金額は、年度と地区で改定されます。 積算には、発注者が指定する年度版の基準で必ずご確認ください。