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工法解説

鉄筋のノロの除去 ― 国の仕様書の書き方、どの程度まで・何で落とすか、付けない方法

2026-11-02 / SANTEC COLUMN

この記事の要点

  1. 鉄筋に付いたノロは、国の仕様書の書き方では「付着を害するおそれのあるもの」に当たり、コンクリートを打つ前に点検して清掃する対象と読めます。 「ノロ」という語は、仕様書には出てきません。
  2. どの程度まで落とすかの数値は、開いた仕様書にありません。 現場の特記仕様書を確かめ、監督職員(民間工事では監理者)と決めます。
  3. 落とし方は、ワイヤブラシなどの手工具が資料に書かれています。 本数が多いときは、水で洗う方法も選択肢です。

鉄筋のノロとは、打ち込んだコンクリートのセメントペーストが、打込み箇所以外の鉄筋に付いて固まったもののことです。 セメントペーストは、セメントと水を練り混ぜた糊状のものを指します。対象は、打継ぎの上に出した差し筋(次に打つコンクリートの中へ入れる鉄筋)にノロが残っている現場です。

引く仕様書は、国土交通省の土木工事と建築工事のものを使います。自治体や民間の工事では、その現場の特記仕様書を先に確かめてください。そのまま次を打ってよいか、どこまで落とすか、何で落とすかを、順に整理しました。

「ノロ」は、鉄筋に付いたセメントペーストです

ノロは現場の呼び名です。山口県の「コンクリート構造物品質確保ガイド」は、型枠の継ぎ目から漏れたセメントペーストを「ノロ漏れ」と呼んでいます。鉄筋に付くノロも、同じセメントペーストです。打込みの途中で、打ち込む箇所の外にある鉄筋にコンクリートが付くと、固まったあとに鉄筋の表面へペーストの層が残ります。

仕様書に「ノロ」の語はなく、「付着を害するおそれのあるもの」として扱われます

公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版と、土木工事共通仕様書(案)令和8年3月の本文で、「ノロ」の語を探しました。どちらにも見つかりませんでした。次の表に、鉄筋の表面について書かれた箇所を、差し筋に関係するものから順に並べました。

資料・箇所 場面 原文
土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 1-3-7-4 の4 組立て後から打込みまで 受注者は、鉄筋を組立ててからコンクリートを打ち込むまでに鉄筋の位置がずれたり、どろ、油等の付着がないかについて点検し、清掃してからコンクリートを打たなければならない。
同 1-3-7-4 の1 鉄筋の組立て前 受注者は、鉄筋を組立てる前にこれを清掃し浮きさびや鉄筋の表面についたどろ、油、ペンキ、その他鉄筋とコンクリートの付着を害するおそれのあるものは、これを除かなければならない。
日本建築学会 JASS 5 パブリックコメント用本文案 7.5 a コンクリートの打込み 打込み箇所以外の鉄筋,型枠,先付けタイルなどにコンクリートが付着しないようにする.
同 10.5 c 鉄筋の組立て前 鉄筋は,組立てに先立ち,浮きさび・油類・ごみ・土などコンクリートとの付着を妨げるおそれのあるものは除去する.
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 5.1.2(2) 鉄筋工事の基本要求品質 また、鉄筋の表面は、所要の状態であること。
四国技術事務所「監督職員のためのコンクリート工事ポケットブック(案)」平成30年3月 3.3 の解説 鉄筋の保管 鉄筋に浮き錆、土、油、ペンキ等の有害物が付着すると、鉄筋とコンクリートの付着が悪くなり、付着強度が損なわれる。
土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 1-3-7-6 の4(圧接面の清掃) ガス圧接する鉄筋の端部 …ディスクグラインダで端面を研削するとともに、さび、油脂、塗料、セメントペースト、その他の有害な付着物を完全に除去しなければならない。
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版 5.4.7(1) 圧接前の端面 端面及びその周辺には、錆、油脂、塗料、セメントペースト等の付着がないこと。

表から読み取れることは3つあります。

ノロを残してよい条件を書いた条文は、開いた仕様書にはありませんでした。JASS 5は、改定前に公開されたパブリックコメント用の本文案です。確定版の文言は、丸善出版刊のJASS 5で確かめてください。

落とす程度の数値は仕様書になく、特記仕様書と監督職員が決めます

開いた仕様書は、ノロの厚さや面積の許容値を書いていません。除く対象は、「付着を害するおそれのあるもの」という書き方です。判断は、特記仕様書と、検査に立ち会う監督職員(民間工事では監理者)の側に残ります。ノロの量と付着強度の低下の関係を数値で示した公的機関や学会の資料は、今回は見つかりませんでした。

当社は、分野ページ「新築建物是正」に次のように書いています。

鉄筋にコンクリートのノロが付着したままだと、次に打つコンクリートとの付着が確保できません。超高圧水で鉄筋をきれいに洗浄し、確実な一体化を図ります。

(株式会社サンテック 施工事例「新築建物是正」)

当社の考えとして書いた文です。仕様書の側は、数値で線を引かず、付着を害するものを打込み前に除く、という書き方を取っています。

打継ぎ面そのものについては、公共建築工事標準仕様書の6.6.4(4)に別の条文があります。差し筋のノロも、打継ぎ面の処理と同じ段取りの中で点検します。打継ぎ面の取り方は、レイタンスの除去に整理しました。

ワイヤブラシなどの手工具が、資料に書かれている落とし方です

ConComの2020年6月29日のコラムは、鉄筋の防錆のためにセメントペーストを塗る方法を紹介しています。打込み前の扱いは、次のとおりです。

コンクリートとの付着を害するので、コンクリート打込みに際しては、事前にそのセメントペーストをワイヤブラシなどで除去しなければならない。

(ConCom「組み立てた鉄筋の錆防止とコンクリートのもらい錆の落とし方」2020年6月29日)

意図して塗ったペーストと打込み中に付いたノロは、経緯が違います。表面にセメントペーストが残る点は同じで、書かれている除去の方法はワイヤブラシです。手工具で落とすときの手順を、3つに分けました。

  1. ノロの付いた範囲を見る。 差し筋の根元から先端まで、付いている本数と範囲を数えます
  2. ワイヤブラシで落とす。 固まったペーストは、ブラシで擦って落ちるところまで落とします。落ちきらない箇所は、特記仕様書と監督職員に確認します
  3. 打込みの直前に、もう一度見る。 土木の1-3-7-4の4は、打込みまでの間に付いた付着物も、点検して清掃するよう求めています

水で洗う方法は、土木研究所のマニュアルにも記載があります

塩害環境で断面修復をするとき、鉄筋に付いた塩分を除く方法として、次のように書かれています。

除去の方法としては,鉄筋に付着したペーストを丁寧に落とし,多量の流水で洗う,温水で洗う等の方法がある。

(土木研究所資料 第4433号「コンクリート構造物の補修対策施工マニュアル 2022年版」令和4年12月 3.3 解説)

超高圧水で鉄筋を洗浄する方法は、当社が新築建物是正の中で行っているものです。洗浄前の鉄筋と洗浄後の鉄筋の写真は、新築建物是正のページに載せています。水を使う工法では、使った水の集め方と処分先を先に決めます(ウォータージェットの排水処理)。

方法は、差し筋の本数と、次に打つ日までの日数で分かれます

方法 根拠 向く範囲 段取りの注意
ワイヤブラシなどの手工具 解説記事(ConCom)が、セメントペーストの除去方法として挙げる 付いた本数が少なく、手が届く範囲 本数が増えると、作業の時間がその分延びる
流水・温水で洗う 土木研究所のマニュアルが、塩害環境の断面修復で鉄筋の塩分を除く方法(ペーストを落としたあとの洗い)として挙げる ペーストを落とした後の洗い 排水の扱いが加わる
超高圧水(鉄筋洗浄) 公的な資料に位置づけは見つからず、当社が新築建物是正で行っている方法(分野ページに洗浄前と後の写真) 本数の多い差し筋、密に組まれた鉄筋を、打込みまでの短い工程でまとめて落とす場面 使った水の集め方と処分先を、先に決める

付いた本数が少ないうちは、手工具で足ります。次の条件が重なった現場では、手工具で日数が足りなくなる場合があります。

方法を分けるのは、本数と日数です。

付けない方法は、打込みで付けないことと、覆うことです

JASS 5の本文案は、打込みの項で次のように書いています。

コンクリートは,目的の位置にできるだけ近づけて打ち込む.その際,打込み箇所以外の鉄筋,型枠,先付けタイルなどにコンクリートが付着しないようにする.

(日本建築学会 JASS 5 パブリックコメント用本文案概要 7.5 a、2020年9月)

打込み箇所以外の鉄筋を覆う方法として、差し筋の頭や露出部にかぶせる覆いを使うやり方があります。覆いは、次のコンクリートを打つ前に外します。ConComのコラムは、立ち上がり鉄筋に熱収縮性のチューブやビニールテープを巻く被覆を、防錆の方法として紹介しています。被覆については、「コンクリートとの付着を害するので、コンクリート打込み前にその被覆を取り除かなければならない」とあります。

着工前に確認すること

  1. 特記仕様書の鉄筋工事の項を読む。 付着を害するものの除去や、鉄筋の清掃について書かれているかを見ます
  2. ノロの付いた本数と範囲を数える。 差し筋の根元から先端までを見て、手工具で足りる量かを決める手がかりにします
  3. 次に打つ日までの日数と、水を使える工程かを確かめる。 水を使うなら、排水の置き場も合わせて決めます
  4. 打込み前の点検と清掃を、誰がいつ行うか決める。 土木の1-3-7-4の4は、この点検と清掃を打込みの前に求めています

まとめ

国の仕様書の書き方では、鉄筋のノロは「付着を害するおそれのあるもの」に入り、打込み前の点検と清掃の対象になると読めます。 どの程度まで落とすかの数値は、仕様書にありません。判断は、特記仕様書と監督職員の側にあります。

付いた本数が少なければ、ワイヤブラシで足ります。本数が多い、鉄筋が密、次に打つ日までが短い、という現場では、水で洗う方法も選択肢です。

ご相談ください 差し筋の本数と範囲、次に打つ日が分かれば、鉄筋洗浄が要るか、手工具で足りるかをお伝えします。

相談の前に集める情報は現場条件のチェックリストに、相談から着工まではご相談から着工までの流れにまとめました。

鉄筋洗浄の、洗浄前と洗浄後の写真は、新築建物是正の分野ページに載せています。


本記事で参照した資料

JASS 5は改定前の本文案、ConComは解説記事です。工事の計画には、発注者の特記仕様書と、最新の仕様書で必ずご確認ください。

よくある質問

鉄筋に付いたノロは、落としてから次を打つ必要がありますか?
落としてから打つと読めます。土木工事共通仕様書は、組立て前に付着を害するおそれのあるものを除くこと、打込み前にどろ、油等の付着を点検して清掃することを定めています。
鉄筋のノロは、どの程度まで落とせばよいですか?
数値の基準は、開いた仕様書にありません。除く対象は「付着を害するおそれのあるもの」という書き方で、判断は特記仕様書と、監督職員(民間工事では監理者)の側にあります。
鉄筋のノロは、何で落としますか?
資料に書かれている方法は、ワイヤブラシなどの手工具です。付いた本数が少ないうちは手工具で足ります。本数が多いときは水で洗う方法も選択肢で、使った水の集め方と処分先を先に決めます。
ガス圧接する鉄筋の端面に付いたセメントペーストは、除くものですか?
除くものです。土木工事共通仕様書は端面のセメントペーストなどの有害な付着物の完全な除去を、公共建築工事標準仕様書は端面とその周辺に付着がないことを定めています。
差し筋にノロを付けない方法はありますか?
あります。JASS 5の本文案は、打込み箇所以外の鉄筋にコンクリートが付着しないようにするとしています。差し筋の頭などを覆う方法もあり、覆いは次のコンクリートを打つ前に外します。

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