この記事の要点
- はつり工事は、国土交通省のガイドラインで「とび・土工・コンクリート工事」の例示に挙がっています。 告示の区分では、ホの「その他基礎的ないしは準備的工事」の中です。
- 同じ「削る・壊す」作業でも、工事全体の目的で業種が変わります。 工作物を解体する工事は平成28年6月から「解体工事」の業種になり、塗装の前に行う下地調整とブラストは「塗装工事」の準備作業として扱われます。
- 1件の請負代金が500万円に満たない工事は「軽微な建設工事」で、建設業の許可が無くても請け負えます。 金額は消費税込みで数え、契約を分けても合計で判断します。
はつり工事とは、コンクリートの表面や一部を削り取る工事です。 漢字では「斫り(はつり)」と書きます。建設業法の別表第一は建設工事を29の種類に分けており、その中に「はつり」の名が付いた業種はありません。どの業種の工事として扱うかは、国土交通省の告示と「建設業許可事務ガイドライン」に書かれています。この記事では、告示とガイドラインの原文を引きながら、はつり工事の業種と、許可が必要になる金額の線を整理しました。はつりの工法そのものはウォータージェットはつりとはで扱っています。
業種:とび・土工・コンクリート工事(例示「はつり工事」)
建設業の業種は、3つの文書を重ねて読むと位置が分かります。
| 文書 | 決めていること | はつり工事の位置 |
|---|---|---|
| 建設業法 別表第一 | 建設工事の種類と、許可の業種(29種類) | とび・土工・コンクリート工事/とび・土工工事業 |
| 告示(昭和47年建設省告示第350号) | 各工事の「建設工事の内容」 | ホ「その他基礎的ないしは準備的工事」 |
| 建設業許可事務ガイドライン | 「建設工事の例示」と「区分の考え方」 | ホの例示に「はつり工事」 |
ガイドラインの別表は、とび・土工・コンクリート工事のホに次の工事を挙げています。
地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事
(国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」別表 最終改正 令和7年2月1日)
例示は工事の名前だけです。チッパーやブレーカーで叩いて砕く打撃式のはつり(ピックはつり)も、超高圧の水圧で除去するウォータージェットはつりも、例示の上では同じ「はつり工事」の語に入ります。
解体工事との境目:目的物を解体する工事かどうか
かつて、工作物の解体はとび・土工・コンクリート工事の内容の一部でした。平成26年の告示改正で「工作物の解体」がとび・土工・コンクリート工事から削られ、平成28年6月から「解体工事」が独立した業種になりました。
ガイドラインは、解体工事と他の業種との区分を次のように書いています。
それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事は、それぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。
(国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第2条関係】2.(23)解体工事)
補修工事のはつりは、構造物を残したまま劣化部を取り除く作業です。工作物そのものを取り壊す工事とは、目的が違います。見分けどころは、契約の目的が「残す」か「取り壊す」かです。
塗装の下地としてのはつり:塗装工事の準備作業に含まれます
塗り替えの前に古い塗膜や脆弱な層を落とす作業は、塗装工事の側に区分の考え方があります。
下地調整工事及びブラスト工事については、通常、塗装工事を行う際の準備作業として当然に含まれているものである。
(国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第2条関係】2.(14)塗装工事)
塗り替えまでを一続きで請け負う場合、下地調整は塗装工事の中に入ります。削る作業だけを切り出して発注する場合の扱いは、この項には書かれていません。(関連:防食工事の下地処理が寿命を決める)
補修の一部としてのはつり:附帯工事の考え方
断面修復の工程でははつりが欠かせませんが、主たる工事の許可があれば、はつりの部分も含めて請け負えることがあります。建設業法第4条は、附帯工事を次のように定めています。
建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。
(建設業法 第四条)
ガイドラインの定義では、附帯工事は「主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事を施工するために生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの」です。判断は、注文者の利便や請負契約の慣行を基準に、一連または一体の工事として施工することが必要か相当かを総合的に検討する、とされています。
許可が要らない線:1件500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)
建設業法第3条第1項のただし書により、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う者は、許可を受けなくても営業できます。線を引いているのは建設業法施行令第1条の2です。
法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。
(建設業法施行令 第一条の二第一項)
はつり工事は建築一式工事ではないため、1件500万円が線になります。500万円以上の工事では、とび・土工工事業など、その工事に当たる業種の許可が必要です。金額は、e-Gov法令検索で令和8年4月1日施行の条文を開いて確かめました。
500万円の数え方:消費税込み、分割しても合計
| 場面 | 数え方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消費税 | 請負代金の額に消費税及び地方消費税を含める | ガイドライン【その他】2. |
| 契約を分ける | 各契約の請負代金の額の合計で判断する(正当な理由に基づいて分割したときを除く) | 施行令第1条の2第2項 |
| 注文者が材料を提供する | 材料の市場価格(及び運送賃)を請負代金の額に加える | 施行令第1条の2第3項 |
税抜きで500万円に満たなくても、消費税を加えて500万円以上になれば、軽微な建設工事には当たりません。同じ現場のはつりを2つの契約に分けても、正当な理由が無ければ合計額で判断されます。
軽微な解体工事でも、解体工事業の登録が要ります
解体工事には、金額の線とは別の決まりがあります。ガイドラインは審査上の注意として次のように書いています。
解体工事については、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「建設リサイクル法」という。)施行後は、軽微な建設工事であっても同法に基づく解体工事業登録が必要となるので、同様に審査に当たっては十分に注意すること。
(国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」【第5条及び第6条関係】(9)④)
はつりの範囲が広がって工作物の取り壊しに近づく工事では、500万円未満でも登録の有無を確かめておく必要があります。
発注前に確かめること
- 工事の目的を決める。 劣化部を除去して構造物を残すのか、工作物を取り壊すのか、塗り替えの下地をつくるのかで、当てはまる業種が変わります
- 1件の請負代金を税込みで見る。 500万円以上なら、受注者がその業種の許可を持っているかを許可通知書などで確認します
- 分けて発注する場合は合計額を見る。 同じ工事を複数の契約に分けても、正当な理由が無ければ合計で判断されます
- 取り壊しを含むなら、解体工事業の登録か解体工事業の許可を確認する。 金額が小さくても登録が要ります
業種の区分で判断に迷う工事は、許可を担当する行政庁の窓口で確かめるのが確実です。現場に入る人の資格と施工体制は、ウォータージェット工事の施工体制と資格の記事にまとめました。
まとめ
はつり工事は、ガイドラインの例示でとび・土工・コンクリート工事に挙がっています。 ただし、工作物を取り壊す工事なら解体工事、塗り替えの下地調整なら塗装工事の準備作業、補修の一部なら附帯工事と、工事全体の目的によって見方が変わります。
許可が要らない軽微な建設工事は、1件の請負代金が500万円に満たない工事です。金額は消費税込みで数え、契約を分けても合計で判断します。解体工事だけは、軽微でも解体工事業の登録が必要です。
ご相談ください はつりの範囲と、残したい部分を教えていただければ、ウォータージェットで進めるのが合うかどうかを率直にお答えします。 打撃式のはつりのほうが合う現場なら、そのようにお伝えします。株式会社サンテックは創業から30年以上、超高圧ウォータージェット工法を専業としてきました。
本記事で参照した資料
- 国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」平成13年4月3日国総建第97号、最終改正 令和7年2月1日国不建第161号(【第2条関係】2.許可業種区分の考え方/【第3条関係】3.令第1条の2の「軽微な建設工事」について/【第4条関係】附帯工事について/別表)
- 国土交通省「業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方(H29.11.10改正)」(告示の「建設工事の内容」とガイドラインの例示・区分の考え方の対照表)
- 国土交通省 土地・建設産業局建設業課「建設工事の内容及び例示等の改正について」平成26年12月25日
- 建設業法(昭和二十四年法律第百号)第三条・第四条・別表第一(e-Gov法令検索)
- 建設業法施行令(昭和三十一年政令第二百七十三号)第一条の二(e-Gov法令検索、令和8年4月1日施行時点)
いずれも原典を開いて確認したうえで記載しています。金額の基準や区分は改正されることがあります。 工事の計画には、発注時点の最新の法令・ガイドラインで必ずご確認ください。